●短編小説 vol.2●
□青春の光〜下〜
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ガチャッ……
久しぶりに開けた扉……
いるはずないってわかってても少しだけ期待してしまう自分が嫌になる……
……
私は虚しさを吐き出すように……
……
久しぶりに大きく息を吸った……
そして………
菜緒『簡単に好きなんて言うなぁぁぁーー!!!
私のことなんて知らないくせにぃぃーーーー!!…』
….
全然スッキリしない…
私は…
目を瞑った……
そして……
もう一度大きく息を吸って……
スゥゥー………っっ
菜緒『もぉぉ!!
忠義のばかぁーー!!
怒ってるなら怒ってるって言えーーーー!!
そしたら…っっ……….』
そしたら…
謝れるのに………
…
涙で滲む空に…
忠義の顔が浮かぶ……
菜緒『ばかぁ…
忠義のばか……
…好きだよ……ばか……』
……
……………
するとその時……
タン…タン…タン……
……!
後ろから足音が聞こえて……
振り返ると……
……
そこには…
ポケットに手を入れて立っている忠義の姿……
そして…
ゆっくりと近づきながら……
大倉『ばかばか言い過ぎや!』
そう言ってニコッと笑う忠義……
……
…………!!
え…!もしかして…
菜緒『…いまの…』
忠義は私の目の前に立って…
あの時と同じように…
にっこり笑って答える…
大倉『うん!全部な!』