●短編小説 vol.2●

□曇のち雨のち……
1ページ/10ページ

カランカラン……

懐かしさを感じるこの音が出迎えてくれるこの場所は…

私のお気に入りのカフェ……




駅から少し離れただけなのに…


周りには緑が溢れてなんか旅にでも来たような感覚になる…


あっ例えるならトトロに出てきそうな場所にある落ち着いた店…


私は今日も…ここでゆっくり紅茶を飲みながら本を読んでいた……





カランカラン……


またあの音が聞こえて…

ちらっと入り口を見ると……

……


安田『こんにちはー』


とにこやかに登場したその人は……



店長と楽しげに会話をしてから…

私の前にあるソファー席に座った……


鞄から小さな本を取り出すと…

…じっくりと読み出す……





私はなぜか…

その人に目を奪われた…




だって…

その人の目は….すごく優しさに溢れてて….

本にまで優しい眼差しを向けてるように感じたから……

.……


なんだろう…この感じ……


……


私はじーっと、その人を見てしまった…




すると…

私の視線を感じたのか…


その人は…ちらっとこちらを見て……


パチッと目が合う……

.……


あ….っ….

どうしよ…

変な人って思われたかな…



なんて考えていると…

その人は….

にこっと笑って…


小さく頭を下げた…

……


やっぱり…

誰にでも…優しい目で見るんだ……


私も自然と笑顔になって…

頭を下げて……


……


お互いに…本に視線を移した……
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ