●短編小説 vol.3●
□禁断の甘恋
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村上『おはようございます!!』
ディレクター(以下D)『村上さんおはようございます!今週もよろしくお願いします!』
村上『こちらこそお願いしますー!』
D『今週からはセットが変わって…』
村上『へぇ!そうなんやー!
新セット楽しみにしときますねー!』
朝から彼の声が響く局内の廊下…
…
前から歩いてくる彼に……
菜々『…あ…おはようございます!』
村上『んっ?…あ!おはよう!!』
と言いながらニコッと笑うその人を見ると…
…つい…ニヤけてしまう…
…
そんな私を見て
…周りを気にしながら…
すれ違いざまにコソっと囁く……
村上『…あかんって…にやけすぎや…』
菜々『…だって…』
…びしっとスーツを着た信ちゃん…
…かっこいいんだもん……
………
ふと周りの声が静まり返って…
気づくと廊下には2人…
……
信ちゃんは私を見つめながら小さな声で話し出す…
村上『なぁ…菜々…
俺と菜々のことバレたら…
菜々の方がたいへんなんやで?
それわかってる?』
私は信ちゃんを見上げながら…
菜々『うん…わかってるけどさ…』
村上『わかってるけど…なに…?』
信ちゃんはすごく綺麗で澄んだ目をしている…
そんな目で見つめられると…
なにもかも見透かされてるような気分になって…
…
つい本音が出てしまう…
菜々『けど…かっこいいんだもん…信ちゃん…
…どうすればいい…?』
……
………
私の言葉に…信ちゃんは…
一瞬固まって……
村上『…………っはぁ!?』
菜々『…どうしよ…信ちゃん…』
……
村上『…もぉ何言うてんねんなぁ
あほやなぁ…』
と言いながら私の頭をポンポンと撫でて……
村上『…もうそんな可愛いこと言われたら仕事に集中できへんよ…
家帰ったらゆっくり聞くから…
…な?』
菜々『うん…』
その時……!
D『おーい!AD!!』
菜々『あ!はい!!!』
遠くから聞こえる声にパッと離れて…
村上『じゃあな…がんばりや…!』
菜々『うん!信ちゃ…じゃない…
村上さんも!!』
村上『はははっはいはい!』
可愛い笑顔の信ちゃんに背を向けて…
遠くから聞こえるディレクターの元へ走った…
……
そう…
わたしたちの恋は…
絶対にバレてはいけない…
『禁断の恋』なんて言ったら大袈裟だけど…
…ADで下っ端の私と演者でしかもジャニーズ事務所のアイドルとの恋なんて絶対絶対ご法度だった……