●短編小説 vol.1●

□遠くても
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どんなに遠くても…

君を想ってる…

ずっと…ずっと……


………



大倉『菜緒〜!こっち!』

菜緒『あっ!忠義ぃー!』


どんな人混みの中でもいつも俺の方が先に見つけてしまう…


大好きな笑顔で手を振る俺の1番大切な人…


大倉『疲れたやろ〜?荷物持ったるわ!』


菜緒『ありがとー!あれ?忠義また背伸びた?』


大倉『もう伸びへんやろー!
菜緒がちっちゃなったんちゃう?』


菜緒『失礼なー!!
なんかずっと小さいまんまの忠義のイメージだから久しぶりに見るとびっくりしちゃうんだよね〜』


大倉『そんなん!俺やって菜緒はずーっと小さい頃のまんまやで?
あっ!菜緒はほんまに小さいまんまやったぁぁー』


菜緒『あぁ!今私毎日牛乳飲んでるんだから!
まだまだ背伸びるもんねー!』


大倉『はっはっはっ!もう遅いわぁー!!ははっ』


……


菜緒の母親と俺の母親は学生時代からの親友で赤ん坊の頃からずっと兄妹のように育ってきた仲だった…


住む場所は遠かったけど…毎月お互いの家に泊まったり…

旅行もたくさんした…

……

思春期になって…

家族旅行には参加しなくなっても菜緒達と行く旅行には必ず顔を出した…


そう…

俺は物心ついた時からずっと菜緒が好きやった…


でも…

この気持ちは絶対に表には出せない…

なぜなら…小さい頃から母親達に耳にタコが出来るくらい聞かされてきたから…


"あんた達は兄妹だからね!
恋愛感情は持ったらだめよ〜!"


きっと一生隠していくことになるこの気持ち…
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