●短編小説 vol.1●
□小悪魔な君A
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錦戸『好きやで…』
そう言って…目を閉じる菜緒の顔にゆっくり顔を近づけた…
……
…
すると……
パチ…!!
突然菜緒の目が開いて…
菜緒『…亮?』
錦戸『ぅわっ!…なっ…なに?』
びっくりして顔を背けた…
菜緒『またNGだよ。
“好きやで”じゃなくて“好きだよ”だから!!』
錦戸『あっあぁ〜!ほ…ほんまやね!はははっ
なにやってんねん俺〜』
菜緒『そんなんで本番大丈夫??
てかなに?なんでそんな焦ってんの?』
錦戸『大丈夫や!
いやっ焦ってへんし!別に!』
菜緒『ねぇ…もしかしていま演技のままキスしようとした?』
錦戸『……あ?
キス…!?
そ…そんなんするか!おま…お前に!』
……あかん…
噛み噛みやんけ…
落ちつけ…
菜緒『ふっ』
錦戸『あっお前なに鼻で笑ってんねん!』
菜緒『別に〜』
錦戸『お前…腹立つわ〜
…
キス…
なんかするわけないやん…』
菜緒『あっそう!
ならいいけど!
キスなんかしたらもう絶交だからね!
覚えといて!』
ちょっと切れ気味に言う菜緒……
あかん…
そんな嫌なんか…
めっちゃキズつくわ〜
錦戸『は!?
そんなんせぇへんって!あほ!
もうお前寝ろよ!はよ!』
菜緒『私ここで寝るから!
おやすみ!』
錦戸『あかんって!お前厚かましいわ!
俺明日朝から仕事やねんで?
ベットしかぐっすり眠れへんもん。』
菜緒『私も全く同じ言葉を返す!』
錦戸『ほんま無理!』
菜緒『………
まぁしょうがないね。
共有するしかない。』
錦戸『無理。』
菜緒『なら亮ソファーね。
私は100歩譲ったのにそれを断ったんだから!』
錦戸『もぉ〜お前…ほんま…』
菜緒『はい。もう私寝るから!
あっ亮まだお風呂も入ってないじゃん!
ほら行きな!じゃあおやすみ〜』
早々とベットに潜り込む菜緒…
そんな菜緒を横目に追い出されるように寝室を出る俺……
菜緒『あっ電気消してね〜』
錦戸『自分でやれ!』
菜緒『ケチ!』
俺は缶ビールを取り出してリビングのソファーにどさっと座った。