海を愛する
□旅-1
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俺が生まれた其処は、前の世界とは全く違った。
一つ、どうやら此処はあるアニメの世界らしいと言う事。
二つ、この町の住人―…嫌、島事態特殊だと言う事。
この島の住人は髪と眼が真っ赤なのだ。
大人から子供、歳関係無く。
三つ、容姿の違う俺を周りは“忌み子”とされた事。
4歳の頃に俺は全て鉄で作られた牢屋に入れられ、育てられてきた。
ご飯は食べられるから良い。
“忌み子”と呼ぶのも勝手にすればいい…。
伸びきった髪を見つめ、これなら“忌み子”と呼ばれるのも無理ないかと
苦笑する。
『…騒がしいな』
外から聞こえる声に、俺は目を細める。
海賊か盗賊か…、はたまた人攫いか……
今日はどちらだろうか…。
そんな事を考えていると、誰かが小屋の扉を開け中に入って来た。
「…出て来い」
牢屋の鍵を開け顎で指図する男に、俺は言われたとおりにする。
チラリと男を盗み見ると、男は蔑んだ目で俺を見ていた。
それに俺は心の中で苦笑した。
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