海を愛する
□旅-2
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ガチャッ
「どうだい、ソイツの様子は」
白髭海賊団一番隊隊長・マルコは近くのナースに尋ねた。
「あぁ、マルコさん。彼ならぐっすり眠っているわ」
ナースの言葉に、マルコは「そうかい」と返すと、医務室のベットに眠る少年の隣に腰を落とした。
マルコの独特な雰囲気に気付いたナースは、黙って医務室を出て行った。
「たくっ…オヤジも物好きだねぇい」
マルコはベットで深く眠る少年の長い前髪を顔からどかしてやる。
見た目は伸び放題の髪だが、触ってみればサラサラと触り心地がいい。
髪質良い奴だなぁ〜…と、マルコは密かに思っていた。
長い髪に隠れた顔は、まだ幼さを少し残すが中性的で綺麗に整っていた。
睫毛は長く、銀色に輝いていた。
「(本当にコイツ男かよい…;;)」
これで男なのだから、きっと女性は悲しむだろうなと、マルコはいろいろと場違いの考えを頭の中で膨らませていた。
「あぁ〜ん…そんなに見つちゃやぁ〜よvV」
マルコ「誰もお前何か見てねぇよい」
髪から手を離し、新たに来た来客にマルコは眉を寄せた。
「んな、あからさまに嫌そうな顔すんなよ…流石にへこむから」
そう言うサッチに、マルコは面倒臭そうに大きな溜め息を吐いた。
マルコ「にしても、珍しい来客だねい」
扉付近にいるビスタとイゾウの姿を見て、マルコはわざとらしく目を見開く。
ビスタ「まぁ、少し気になっただけさ」
イゾウ「俺もビスタと似たような理由だ」
サッチ「俺は個人的にww…で、マルコはどうしたの?」
サッチはニヤニヤと笑いながらマルコを見下ろした。
答えが分かって聞くのだから、腹立たしい。
マルコ「はぁ…お前らと一緒だよい」
マルコがそう言えば、三人はやっぱり、と言う横な顔をする。
それも仕方が無いだろう。
船に乗って早々泣きながら過去を話すのだから、気になる奴は居るだろう。
サッチ「愛を知らない…そんな事言われたら教えてあげたくもなるだろ」
サッチは少年の白髪に指を絡ませ、優しく梳いてやる。
それは壊れ物でも扱うかの様に優しい…。
それが気持ち良かったのか、少年はサッチの手にすり寄った。
『ん、…‥っ』
綺麗な眉を寄せた少年はサッチの体温に気付いたのか、うっすらと瞼が持ち上がる。
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