海を愛する
□旅-3
1ページ/3ページ
身体を洗い終え、脱衣場の扉を開けてマルコに渡されたタオルで身体を拭く。
邪魔な長い髪をタオルで頭に巻き、未使用の下着を袋から取り出し穿く。
ズボンはサイズが大きいからと、一緒に渡されたベルトをする。
服はサイズが大きいパーカー。
どれもサイズが合わなくてすまないと謝られたが、
俺にしてみれば着る服を貸してくれるのだから文句などない。
靴はナースのマリンさんから借りたサンダル。
借りた時にも言ったが、また改めて礼を言わなければな。
壁にかけられた鏡の前に立ち頭からタオルを外す。
前と違う髪と瞳の色…
顔は前と同じ中性的。
前髪は邪魔だが、顔を隠せれるから良いか…
後ろ髪は今度切ろう。
そんな事を考えていると、不意に出口の扉が叩かれた。
『はい…着替えは終わってます』
「そりゃァ、丁度良かった」
入って来たのはイゾウだった。
確かさっき医務室にも居たよな…
俺に何の様だ?
イゾウ「ヘェ…見違えたな」
上から下まで見るイゾウに、俺は『どうも』とだけ返した。
イゾウ「ま、やっぱり髪は濡れたままか…」
イゾウは俺の近くに来て、何かを俺に見せて来た。
『ドライ、ヤー…?』
この世界にもあったんだな。
で、何でドライヤー?
ドライヤーからイゾウに視線を移せば、イゾウは綺麗な唇を動かして言った。
「渇かしてやる」
と。
.