海を愛する
□旅-4
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*マルコ side*
末っ子(予定)のレオンを浴場に連れて行った後、敵襲があった。
まぁ、敵と言っても白髭海賊団の実力も知らないぺーぺー海賊だった。
それに気を緩めていたのだ、俺達は。
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浴場に続く廊下から出て来たイゾウとレオン。
その扉に一目散に走って行った船長を含めた数人の敵の船員。
イゾウは数人の船員を銃で打ち抜いたが、船長は見方を盾にしてそれを避けた。
船長はイゾウの後ろに居たレオンに気付くと、人質にとりやがった。
「「「レオンっ!」」」
レオンの顔は青白くなっていき、アイスブルーの瞳を大きく見開いていた。
怯えているのは直ぐに分かった。
しかしそれは喉元に刃物を当てる船長にではなく、
何か別のモノに怯えている様子だった…。
船長「はっ!そうとうコイツが大切らしいな…傷付けられたくなかったら武器を捨てろっ!!」
コイツの事だ。
頭に血が上ったら人質であるレオンを殺すだろう…。
俺は舌打ちし、全員に武器を捨てるように言った。
イゾウの射撃の腕ならぺーぺー船長など簡単に撃てるだろう。
しかしそれは撃った反動でレオンが刃物で切られる可能性がある。
初めてあった時の様な真似、混乱状態になっている今のレオンには無理だろう…。
だとすると、今は相手の言うことを温和しく聞くしかない。
船長「武器は全部捨てたな?!…よし、次は船だ!食料と宝を俺の船に運べ!」
歯痒い…
白髭海賊団一番隊隊長のこの俺が、
たかだか新米の海賊団に油断した結果がこれとは…
それは俺だけではないだろう。
隊長格や船員達は鋭く船長を睨みつけていた。
今にも飛びかかりそうな勢いで、肉食の獣の様だ。
それに俺も入っているのだから、どこか冷静に物事を考えている自分に苦笑する。
『…ャっ…』
船長「あ?…それにしてもお前、いい顔してるじゃねェか。」
『…ャ、だ…!』
船長「後でたぁっぷり、可愛がってやるよ」
何故か分からないが、敵の船長がレオンに触れる度に、
怒りが膨れ上がる感覚がした。
『‥ャめ…、』
船長「グヘヘヘ…」
『…はな、…し‥ッ』
「くそっ…!」
我慢が出来なかったどこかの隊の者が動いた。
それに釣られるように皆が動いた。
一番近くに居たイゾウが銃を拾い上げ、素早く構える。
が、
それよりも早く、船長が赤く染まる。
「ギャァァァ゛ァ゛っ!」
レオンは敵の船長の腕を切り落としたのだ。
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