海を愛する

□旅ー5
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――守ってやるから…



そんなの、初めて言われた…。


だからかもしれない…


涙が出て来るのは…。




白髭の時の様な優しく温もりに、

俺は目を閉じた――…














**********

「***…」



気色悪い。
その声で俺の名を呼ぶな。



『お兄さん、離して下さい』


「***、二人の時は名前を呼ぶように言ってるだろ?」




誰がお前の名前なんか呼ぶものか。


それでも顔に出ない様に気を付けながら、

その要求をやんわりと断る。



「***…、***…」



何度も俺の名を呟きながら、俺を抱き締める手に力が入った。



食事の準備が出来ないから止めて欲しい。


帰って来て早々俺を後ろから抱き締めて、何が楽しいと言うのだ。


男同士で抱き合って、気持ち悪いだけではないか。



首筋に置かれた顔は狙ってか知らないが、喋る度に耳や首に息がかかる。



「***…、ヤりたい」



その言葉に、俺に否定する事は出来ない。


否定すればする程酷く長くされる。


だが、素直に従うのは腹が立つ。




『お兄さん、時と場所を考えて下さい。』


「俺は今すぐ***とヤりたい」



俺の言葉など聞かないこの男は服の中に手を入れ、腹や胸などを撫で回す。


俺が好きなら俺の言い分を聞いて欲しい。



この行為は嫌いだ。

痛いし疲れるし、俺に利益がない。



「***…」



甘い声で名を呼ばれたくない…。


その手で俺に触れないで…。



『…ん、‥ャめっ』



勝手に出る聲を、聞かないで…。



「***、好きだ」



こんな時だけ“好き”だなんて言わないで…。



その全てに、腹が立ち、涙が溢れた―。




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