海を愛する

□旅-3
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*イゾウ side*



新しく来た末っ子(予定)のレオンは、

俺に言われたとおり鏡の前に置かれた椅子に座っている。


俺はその後ろに立ち長い髪をドライヤーで渇かしてやっている。


最初見た時は返り血やらで気付かなかったが、
コイツは綺麗な髪をしている。


髪は手触りもいいし何よりも色だ、色。

光の反射で白銀にも見える程キラキラと輝いている。


これが忌み子と蔑んだ理由がいまいち分からない。

容姿が違うだけではないか。



『…あの、』


考えに耽っていると、末っ子(予定)に呼ばれる。


「どうした?」


鏡に映る末っ子(予定)を見れば、末っ子は遠慮がちに口を開いた。


『…何で、見ず知らずの俺なんかに…その、‥優しく、したりするん…ですか?』


「そうだなー…気になるから、だろうな」

『…気になる?…何を、』



隠しもせずに眉間に皺を寄せる末っ子に苦笑するが、

可愛い末っ子(予定)からの質問に俺は答えてやる。



「お前船に乗って過去の事いろいろ話してくれただろ?だからかかねぇぃ…

心配しちまうんだよ。お前みたいなの見てると」


『俺みたいなの…?』


「表面では平気そうにしてるくせに、その胸ん中は傷だらけで誰かに助けを求めてんだ。

オヤジはそうゆう奴はほっけねぇ質でな。ま、この船に乗ってる奴らはみんなそうなんだがな?」



俺の話を聞いた末っ子(予定)は、眉を寄せていた。


「これから先が聞きてぇって言うんなら、オヤジに聞きな。お前が欲しがってる答えを聞かせてくれるはずだ。


…とっ。髪も渇いた様だな」



ドライヤーのスイッチをきって、櫛で軽く梳いてやる。


サラサラと絡まる事無く通る髪に、手入れのしがいがあるなと、心の中で呟く。



末っ子は椅子から立ち上がると、俺に軽く頭を下げてきた。


『…ありがとう、ございます。…いろいろと、助かりました』


「あ?俺はそこまで言われるような事はしてねぇよ」



苦笑して頭を軽く撫でてやる俺に、末っ子はピクッと身体を震わせスカイブルーの瞳が見開かれた。


だが、それは一瞬だけで後は俺から視線を外すだけで温和しく撫でられていた。



「……、さっ。何時までも此処に居たらマルコに怒鳴られるしな。戻るぞ」


頭から手を離して廊下に続く扉を開けた俺に、末っ子は何も言わず付いてきた。



多分…、あの一瞬の事は過去に関係している事だと思うが、

それは俺が聞く事ではないだろう。


今俺らが出来る事は

コイツが安心できる空間を作ってやれる事…。


だからそんな悲しそうな顔するな。


新しい俺達の家族の末っ子クン。


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