K-青の巫女-
□#01 義妹が人形の様で怖い。
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毎日同じ時間に起きて同じ時間に準備をし、同じ時間に朝食を摂る。
それが宗像蕨の日常、習慣だった。
その1分のズレもない行動に加え、彼女は誰に対しても敬語を使い、表情を面に表さないため、本当の人形の様だった。
『淡島さん、お早うございます。』
蕨はいつもの時間どおりに淡島副長に挨拶をする。
やはり1分1秒もズレはない。
淡「おはよう、蕨ちゃん。」
そのことに少し苦笑いしながら淡島副長は挨拶を返す。
また、それも日常なのだ。
『今日は神社の方へ行かなければなりませんので、これで失礼します。』
そういうと蕨は一礼し、去っていった。
あの言葉遣い。本当の妹でなくても宗像室長そっくりだ。
(本当は実の兄妹なんじゃないかしら。)
そんな疑問を浮かべ、淡島副長は常務に戻った。
『おや、迷ってしまったようですね。』
さっきから同じ道を蕨はグルグルしていた。
『目的地への新しいルートを探さなければ…』
とは言うものも
『うーむ、どうしたものでしょう…』
ふと後ろに目をやるとスケボーに乗った少年が通りかかるのが見えた。
これはいいところに、そう思うと走り去っていったその少年を追うため、蕨は道路にクラウチングスタートの体勢をとる。
端から見ると変人にみえるのはおいておこう。
そんなことより、彼女にはスタートすることしか考えていなかった。
『用意…ぱーん!』
ぱーん!と言うところだけなぜか棒読みだったが、そんなことを思っている束の間
彼女は光の速さで走りだし、スケボーの少年を捕えた。
その瞬間、晴れ渡った空に少年の悲鳴が響いた。