押して引いて

□私見えるんです
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教科書がある程度机の中に詰め込まれていたから、授業に支障はなかった。
1限2限と終えていくが、その間の休み時間はクラスの子たちがちょいちょい声をかけてくれた。

笹田さんという、クラス委員をやっている人とも友達になれたし、西村くんという人とも友達になれた。
そうして、夏目くんという、他の人とは違った雰囲気の人とも。

このクラスはいい人ばかりだ。
嫌われないように、余計なことは言わないようにしなければ。


「ねぇ、お昼一緒に食べましょう?」


いつの間にかお昼休みになっていた。
現国の教科書やノートを机に仕舞っていると、笹田さんが私の前にやってきて、そう言った。


「う、うん!」


いつもなら、お昼が来てほしくなくてずっと寝たふりをしたりしてたのに、今回は何もかもが違う。
お昼休みがやってきたことにすら気付かないほど自然にこの教室に馴染めたのだ。
そんな些細なことに、涙が出そうになる。


「そうだ、夏目くんたちもどう?」

「まじで!是非とも!今井さん食べよー」

「せっかくだし、外で食べましょうか」


そうして、私と笹田さん、夏目くんと西村くんは一緒にお昼を食べることになった。


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