その拳を突き上げろ
□新入生
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「くあぁ…」
大きく口を開けて欠伸をする。
電車が大きく揺れた。
その揺れに揺られながら、手に持っていた小説に目を落とした。
俗に言う、恋愛小説。
前の学校の友人に貰ったものだ。
私は進んでこういったものは読まない。
まず、本を読まない。
貰ったものの、読むつもりは微塵もなかったがこの電車での長旅があまりにも暇すぎて、荷物の沢山入ったスーツケースから引っ張り出してきたのだ。
表紙を開いて数行読んだ所でもう眠気がやってきた。
恋愛小説なるものは横書きという発見。
…それだけ。
せっかく引っ張り出してきたものをまた仕舞うのは勿体ない気がして読み続けた。
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