また繰り返す

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のろのろと支度をする。
支度、といっても歯を磨いて顔を洗って寝癖を取って…という、普通の事だ。
もう今から大学に行ったとしても、入学式はとっくに終わっているだろう。

ヘアアイロンの電源を落としてドレッサーに置いてから携帯をチェックする。
不在着信が13件あった。内3件が東応大学から。残り10件は友人からだった。
そしてメールも受信されていた。26件…。
送り主は10回電話してきた友人だ。(着信拒否するぞ)メールの内容は『早く来い。何してんの』と、26件全て同じ内容だ(もっと違う事書けないのか)。
受信時間を見てみるとそれはら一分おきに送られていた。
「あのヤロウ…」と呟き、ため息をこぼしてから取りあえず大学へ連絡をする。

プルル、プルル、プルッ
3コール目で誰かが出た。


「もしもし、今井紗希と申します。あの今日の入学式、」
『今井さん?!ああ、やっと繋がった!お家にもかけたんですよ…今日はどうして入学式来なかったのですか』
「(家…あ、ホントだ留守電入ってる)…すみません寝過ごしてしまいました」
『ねす…っ?!』


正直にそう答えた。だって本当のことだ。ここで嘘をついてしまってもなんの利益にもならないだろう。


『…まあいいです』
「(いいんだ)」
『でも、貴女は新入生代表だから本当は来ないといけなかったんですよ。まあ今年は代表があと2人居たから問題はなかったけれど…』


代表が私を含めて3人もいるとは。
心の中で一人関心しながら、電話の相手の話を聞く。


『それじゃ、次からは来てくださいね』
「はい。ご迷惑おかけしました」


相手が切る前に私が切る。携帯を置いてクローゼットを開き適当な服を取り出す。
ブラを付けるのが面倒くさかったがまだ昼だ。さすがに女としてそれは駄目だと思い、着ける。


「さ、てと。コンビニでも行こっかな」


玄関の扉を開ける。しかしその開ける手が、いつもと違って不思議な感触がした気がしたのだ。




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