また繰り返す

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「私は見てませんよ?他の人じゃないですか?」
「他の人…」


彼が当たりを見回す。大学内は異常な程過疎っていた。人っ子一人、いない。


「な…」
「私と貴女以外誰も居ませんね」
「…」


面倒くさいと心の底から強く思った。


「…変な人だなと、見てました」
「そうですか…」


正直に答えてやった。少し肩を落とした彼。しばらくして彼は、その隈の酷い色白の顔を上げてこちらを向いた。


「いきなりすみませんでした。では、さようなら」
「え、あ。」


早口でそれだけ言って、道路の脇に止まっていた黒塗りの高級そうな車に乗り込んでいった。ぶろろろろ…と車は発進しビルとビルの間へと消えていった。


「何だったんだろ」


何だか彼とは近々また会いそうな気がした。



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