SHORT STORY
□イケメンと
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「佐伯どん…」
「なんだよその呼び方」
放課後。
佐伯くんが親衛隊さん達を撒いて、教室に戻ってきた。
私は教室で一人残って勉強なう。
ちよみんと二人でするはずだった勉強会は、
「ごめんなさい。氷上くんから生徒会の仕事を手伝ってくれと言われたので、今日はすみませんが勉強会はなしで」
と言ってドタキャンされました。
ええ、わかってます。
わかってますとも。
ちよみんはメッティラブだものね。
応援するとは言いました私。
友達ですもの、背中は押したいです。
「でも私の方が約束したの先でしょーよー!」
「いきなりなんなんだお前は」
……。
「あれ、佐伯くんいたんだ」
「お前気付いてなかったのか?いきなり佐伯どんとか言ったし、しかも心の中の解説で俺の名前一回出したよな?」
おいおいおい。
どうして佐伯くんが、私が心の中でプチ解説したの知ってるんだ。
「私、佐伯どんなんか言ったっけ?」
「もういい。お前と話してるとなんか疲れる」
勝手に君が疲れてるんでしょ私のせいにしないで。
「…で?佐伯どんは何故ここに?」
「だから何なんだよ、その佐伯どんって…」
「私はここで勉強なうだよー独りでねー」
「話聞けよ。んで人に質問しといて答えを聞かねえのかよ」
「ツッコミは的確に、正確にね。ダラダラつっこんでてもウケないよ?」
私がそう言ったら、佐伯くんは長ぁく深ぁいため息をついた。
それはもう肺の空気を全て絞り出すような感じのため息でした。
「…お前がひとりで学校残って勉強?やっと身の危険を感じたか」
「黙れぃ成績優秀ヤロウ。今日はちよみんと二人で勉強会だったんですぅ」
最後にハンッ、と鼻を鳴らしてやった。
馬鹿にしやがってリア充。
「小野田?…ああ、氷上に取られたのか」
「そーだよー」
口を尖らせて、はい拗ねるー。
典型的な拗ねの顔だよね。
「じゃ、おとーさんが勉強教えてやろう」
「きゃーパパ素敵ぃー」
「棒読みだな」
上から目線ムカツクぅー。
そんなこんなで、急遽佐伯くんとお勉強する事になりました。