SHORT STORY

□跡部からの贈り物
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「相変わらず、アホ部のやることって想像でけへんわ」


ずらりと屋台が並ぶ通りを1人歩いていく。時々、ソースの匂いが漂ってきて空腹を誘う。たこ焼きかお好み焼きか。どちらにせよ食べてみたいことに変わりはない。


「あれ、お前は…」
「?…あ、しろいし」
「白石な」


左腕を包帯でぐるぐる巻きにしている四天宝寺中のしろいし、じゃなくて白石がこちらに向けて手を振っていた。


「なあ、たこ焼き買ってかへん?」
「たこ焼きかぁ。ソースの匂いぶちまけとったん白石のとこやってんな」
「もっと言い方あるやろ」
「奢ってくれへんの?」
「そうしたいんは山々やねんけどな、今ちょい厳しいからな」
「…それって美味しないってことなんちゃうん」


出来上がったたこ焼きを見ると、見た目は美味しそうだった。
香りもいい匂いだ。だが、売れ行きは悪いようだ。


「関西人舐めたらあかんで」
「私も関西人やし」


しゃーなしな、と呟きながら財布から五百円玉を取り出す。それを白石に渡すと綺麗に微笑んで、毎度あり、と言った。


「あんた男前やのに、なんで客こやんのやろな?」
「え、それほんまに言うてくれてる?嬉しいこと言うやん」
「は?冗談やし」
「…今井…」


顔を引きつらせている白石。せっかくの整った顔が台無しだ。


「じょーだん!ま、頑張ってなー」


たこ焼きを受け取ってから、右手を軽く挙げてその場を立ち去る。


「立ち去り方かっこよすぎやろ」




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