Nioh×Yagyu
□偽り
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サラサラに整った髪。スラッとした細い体格。白い肌。冷めた態度…。紳士と言われるのも無理はない。
だが俺だけはお前の本当の姿を知っている……
【偽り】
「や〜ぎゅっ…」
「ん、仁王君まだ居たのですか」
放課後。もう誰もが帰ったであろう教室に柳生が1人で机に向かい本を読んでいる姿を見つけた。その姿はまさに優等生、いや紳士的と言うべきか…。
声をかければいつもの澄んだ顔で返答がくる。
「何してるぜよ」
「見ればわかるでしょう?読書をしているんです」
「帰らんのか?」
「なんかこの静かな雰囲気なので本を読みたいと思いまして…」
そう言ってパタと本を閉じれば立ち上がる。
「別に終わらせる事ないぜよ?」
「いえ」
柳生は鞄を出し荷物をしまいはじめる。教科書もしっかり入れて毎日持ち帰っているようだ。ぺたんこの俺の鞄とは大違いで、二人の性格をハッキリ漂わせる。
そしてしばらくの沈黙が続く。その沈黙はいつものように俺が破る。
「二人の時くらい素直になりぃ、恋人なんじゃから」
そう、俺らはつい数日前付き合いはじめた。…と言ってもほぼ俺が無理矢理やった事だが。こいつは思ったほど否定する事も無く、俺に気があるのだとすぐ悟った。
"恋人"という言葉を聞き柳生は顔を少し赤く染め無言で支度を続ける。