降り積もる想いをのせて

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船が陸に到着すると、コックたちの仕事は一休みになる。陸に着く前にある程度、食材のリストは作っておいて、それはマルコを通して、買い出し組の隊の隊員に任せていた。大抵は隊員たちだけでは、心配なので、コック数人が一緒に同行し、食材を見定めながら購入していた。
今回、カンナは同行はしないでよかったが、陸に降りるついでにこれを買ってきてほしい、と料理長に買い出しのリストを渡された。調味料だから、量はそんなにないから一人でも大丈夫だと思う、とカンナはリストを受け取りざまに料理長に言われて、それをポケットにいれて、陸におりた。

港は街から少し離れていて、1本道を5分ほど歩いて街の入り口に入った。入り口を入ると市場が広がっており、そこは活気に満ち溢れていた。降りる島ごとに食材の光景は一変し、カンナは時間をかけて、ゆっくり食材を見て回った。珍しい食材を見ては、店の人に話を聞いたりしているうちに、時間はあっという間に過ぎて、歩き疲れたカンナは近くのカフェで一休みすることにした。少し冷えるため、中に入って窓側の席に座ってにぎやかな街を見ていると、エースが両手に肉を持って歩いている姿を見つけて、ふふ、と笑ってしまった。今回は2番隊が買い出しの担当だと言っていたから、後ろについて回る隊員たちから見ても、今は買い出しの真っ最中なのだとわかる。エースはおいしそうに肉に頬張り、あっという間に完食してしまった。そして、辺りをきょろきょろしたかと思うと、すぐに焼き魚を見つけ、再びそれにかぶりつきながら、隊員たちと街の名に消えて行ってしまった。

「おもしろいなぁ、エース隊長。」

カンナはコーヒーを飲みながら、しばらく人々の流れを眺めた。

30分ほどして、カンナは料理長に頼まれたものを買いに出ようとカフェを出た。
食材が多く並ぶ市場から少し離れて調味料を取り扱う店に入る。棚にびっしり並べられた調味料に息を呑むも、ポケットからリストを取り出して、中身を確認したカンナは絶句した。

そこに書いてあったのは予想以上に多いもので、持ち帰るのに不便しそうな量だった。だが、無理とも言えない量ではあったので、店の者に声をかけてリストのものを揃えてもらった。

「お客さん、本当に大丈夫?」
「は、はい・・・。ありがとうございます。」

袋ではやぶけるから、と箱にわざわざ詰めてくれた店員にカンナは思っていた以上の重たさに顔をひきつらせた。もしかしたら、料理長は他のコックに頼むつもりだったから、この量にしたのかもしれない。たまたまカンナに会って、そのことを忘れて渡してしまったのだろう、とカンナは少し料理長を恨めしく思いながらも、外に出た。
なるべく人の邪魔にならないように、道の端を歩いて、手がしびれれば、荷物を置いて、を何度も繰り返しながら、ようやく街の入り口にたどり着いた。途中で、心配した街の人が声をかけてくれたが、それぞれを丁重に断って街の入り口に来たときには息も絶え絶えだった。
すでに陽もしずみかけているが、すでに白髭海賊団の船も見えている。もう1回休みを入れても10分くらいで着くと判断したカンナは気合いを入れなおして、荷物を勢いよく持ち上げた。

ドンッ……。

前を向いた瞬間にガタイのいい男とぶつかってしまった。そして、その勢いで箱の中に入っていた調味料をばらけさせてしまった。辺りに散らばる調味料にカンナは慌てて調味料を広い始めた。

「おい、てめぇ何してくれんだ。」

カンナは、はっ、として上を向くとぶつかった男がものすごい形相でにらみ下ろしていた。

「あ、す、すみません…。お怪我はありませんでしたか?」

普段からガラの悪いものたちと一緒にいるので、それくらいで臆することもなく、カンナは立ち上がり謝った。
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