東方幽奏希

□未来(さき)へ向かう者
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「あの〜幽々子さん。 一体何処に連れていく気ですか?」

俺は幽々子さんに連れられて歩いていましたが、目的地も何も聞かされていません。

幽々子「閻魔様の所に行くのよ〜」

閻魔?
なんだか危険な予感がしますが、今の俺はそれを思い出すに至りませんでした。
そして非常に形容しがたい道をどんどん進み、着いた場所はこれまた形容しがたい場所でした。

幽々子「ここが閻魔様の居る所よ、行きましょ〜」

「嫌です! 今になってやっと閻魔が何だか思い出しましたよ!」

地獄の主、総司として生前の罪を裁く者。
なんでいきなり閻魔の裁判を受けなければならないんですか。

幽々子「別に恐がる事は無いわ〜 貴女を地獄に送る為に来たわけじゃないから」

「……じゃあどうしてですか?」

幽々子「貴女の体と過去をちょっとね〜」

幽々子さんは大々的な事しか言わずに進んでいってしまいました。
何をするつもりなのかは分かりませんが、行かなければ何も始まらなさそうです。

俺は幽々子さんに着いていきました、しかし……。

「……幽々子さん、何か喋り難いんですが……」

幽々子「あまりここの雰囲気に馴染まないんじゃないかしら〜 それか死後硬直?」

「死後硬直とか冗談になりませんよ!? 早いところ行きましょう!」

そうは言っても結局ペースが変わる事はなく、閻魔様らしき人の前に着いた時には更に硬直が進んでまともに喋れません。

「貴方は冥界の……いきなり何の用です? 私は暇ではないです」

閻魔様の外見は俺の予想を大きく裏切ってくれました。
なんと小さな女の子なのです。

閻魔様といえば恐いイメージだったと思います。
そして幽々子さんや妖夢さん同様にレベル高いです。

幽々子「その忙しい状態を返上してでも調べなきゃならない可能性があるとしたら?」

幽々子さんは閻魔様と俺に聞こえないぐらいの距離で話し始めた。

「確かに、これは優先すべき内容ですね」

幽々子「でしょ〜?」

「で、貴女は何故一言も話さないんですか?」

「……!! ……!?」

話さないんじゃなくて話せないんです!
なんでこんな目に……

幽々子「私は白玉楼に戻るけど、貴女は頑張ってね〜」

そんな!? 酷くないですか!?
殆ど知らない方と話せない俺の二人のするなんて!

幽々子「その子は今話せないからなんとか意思を汲み取ってあげて〜 後はよろしくね〜」

幽々子さんは俺を置いて来た道を戻っていってしまいました。
そんなぁ……

「……小町、戻ってきてますか?」

閻魔様が誰かの名前を呼ぶと、また女性が出てきました。

「呼びましたかぁ〜映姫様ぁ…… 小野塚小町、只今参上しらしたぁ〜」

……間違いなく酔っています。
覚束無い足取りでこちらに向かってきます。

「……

その姿を見て閻魔様はご立腹の様です。
手に持っていた棒で小野塚小町と名乗った女性の頭を叩きました。

小町「きゃん!?」

「貴女は今まで何処に行っていたんですか! 戻ってきていたと思えば酔って帰ってきて!」

閻魔様は怒っていますが俺はそれどころではありません。
俺の意思を伝えようと閻魔様の肩をつつきます。
閻魔様はそれだけでこちらの言わんとしている事を汲み取ってくれたので助かりました。

「小町、貴女も手伝いなさい」

小町「りょ〜かいです。 ……一気に酔いが覚めたねぇ……」

すると閻魔様は何故か俺に向けてあの棒を向けてきた。

「その体から魂を抜きます。 痛いと思いますが仕方無い事と考えて下さい」

それって俺が話せないと分かってて掛ける言葉なんですか!?

「成敗ッ!!」

謎の言葉とともに棒が振り下ろされ、俺の頭にクリーンヒットしました。

小町「なんで成敗なんですかい? まだ悪事を働いていたとは分かってないんじゃないんですよね」

「その場のノリです」

俺の意識はまた闇の中に落ちていきました……。
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