東方幽奏希

□マイペースな人と心配性の人と
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幽々子「それはそうと妖夢〜そろそろお腹が空いてきたわ〜」

妖夢「もうですか? 今から準備に取り掛かる所なんですが……」

紗希「よしっ、なら俺もその準備を手伝うとしましょう」

妖夢「……えっ? すいません、いまいち聞き取れませんでした」

紗希「絶対聞こえてたよね。 今言った通り、俺も準備を手伝うって言ったんだよ」

妖夢「大丈夫なんですか? 正直、不安しか無いのですが」

紗希「大丈夫、色々危険だと判断したら止めるから」

妖夢「危険と判断してからでは少し遅いですよ!?」

紗希「なら退かずにやり続ける」

妖夢「それは素直に退いてください!」

幽々子「妖夢〜いつまでそこで話しているの〜?」

妖夢「分かりました〜! 仕方ないですね……紗希さんも変な事をしない条件でならいいですよ」

紗希「りょ〜かいりょ〜かい。 そうは言われても変な事が何なのかがよく分からないんだけどね」

妖夢「不安ですぅ……」

俺が楽しみに台所に向かう反面、妖夢はとても心配そうな顔をしていた。

いやだなぁ、流石に俺も引き際くらいは直感で覚えているから大丈夫だとは思うけど……
それに色々あったけど恩人である以上仇で返したくないし。

俺は妖夢の頭にポンと手を置いた。

妖夢「!? な、なんですかいきなり……」

紗希「まぁ〜変に心配すんな。 流石に俺も節度ってものは心得て……覚えているつもりだからさ。 妹に心配される兄なんてごめんだからね」

妖夢「紗希さん…… どうやら私も記憶喪失といって余計な心配をし過ぎたみたいです。 確かにそれじゃお兄さんの面目丸潰れですもんね」

紗希「そう言う事。 けど最初は教えてよ? 威厳保とうとして失敗するくらいだったら最初から教えてもらって成功する方がいいからね」

妖夢「分かりました。 ちゃんと覚えてくださいね?」

妖夢は心配そうな顔から一転し歩いていく。
俺もその後ろを着いていった。







幽々子「……随分と短時間で仲良くなってるわねぇ。 紗希ちゃんが馴染みやすい性格っていうのもあるけど、それでもそこまでは……」

幽々子は居間で一人、今度ある人に相談を持ち掛けようと考えるのであった。
妖夢「…………」

台所の中、私は無言になっていました。

紗希「包丁っていうのはさっきの小太刀みたいに軽いし小さいから使いやすいんだね。 これなら俺でも使えそうだよ」

そう言って包丁を振るう兄こと紗希さんの姿は料理人のそれだった。

て言うかその理論なんですか。
小太刀使えるから包丁も扱えるんですか。

紗希「妖夢、使い方はこれでいいんだよね?」

紗希さんの前のまな板には千切りにと言った野菜が細切れに近い状態になっていた。
少し考えている間にこんな細かく……

妖夢「ほ、包丁の扱い方には問題はない様ですね。 けど千切りって言った筈ですよね……」

紗希「ついつい楽しくなっちゃって……気付いたらこんなに……」

なにか解体癖でもあるかのような錯覚を受ける言葉です。

妖夢「とりあえず扱いに問題が無いのが分かったので紗希さんには野菜を切っていってもらいましょうか」

紗希「お任せあれ〜切って切って切りまくればいいんでしょ?」

紗希さんは何処から取り出したのかも分からない包丁を更に持ち、いつの間にか包丁二本を構えている。

明らかに料理のスタイルじゃありません。
しかしその表情は非常に楽しそうでそれが返って怖いです。

妖夢「でも切り方はこちらで指定した通りでお願いしますよ?」

紗希「分かってるって♪ さぁ〜任せなさぁ〜い♪」

本当に楽しそう、と言うか凄く上機嫌です。

もしかして記憶を失う前の生前は料理が好きだったのかも知れないです。

紗希「妖夢〜 こっちのやつはどうやって切ればいいの〜?」

妖夢「それは短冊切りで……って口で言っても分からないですね。 こうやって……」

けど、こうやって誰かと一緒に料理するのも楽しくていいものです。

それに人に何かを教えるという楽しさを知れました。

紗希「妖夢〜もう切るものは無いの?」

妖夢「早すぎます!! 少し待っててください!」

ただ天性の才なのか覚えが早く、私の準備が追い付いてませんでした……
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