東方幽奏希

□意外な出会い、進む信頼
1ページ/5ページ

紗希「行き詰まった……」

道を歩いている人を見て良さそうな物は見つけましたが……
良いものを探すとなると見つけられません。

店は端から端まで見た。
後は……この森の先、ですか。

僕は近くの人に話し掛けました。

紗希「すいません、一つお聞きしたいのですが……この森の中にお店ってない、ですよね……?」

男性「あぁ、あるよ」

紗希「あるんですかっ!?」

まさかあるとは思いもしませんでした。

男性「真っ直ぐ歩いて行った所に変な外観の店があるんだ。 見た事ない変な物ばっかり売っている店だけどな」

紗希「情報、ありがとうございます」

僕は男の方に頭を下げた後に再び森の方に向き直しました。
……行ってみる価値はありますね。

僕は森の中へと歩を進めました。







森の中は日光が木々の隙間から射し込むくらいで薄暗い。
そして肌にひやっとするこの独特の嫌な空気。

紗希「……誰かに見られている?」

周りを見渡す限り人影なんて見当たらないのにそう感じ始める始末です。

まだこの世界の事を全く把握していない僕だ。
何があっても文句は言えません。
僕は歩を進めるのを早めました。











そしてより一層森が深くなる入口の前に確かに一軒のお店が建っていた。

看板にはかおりん……いや、多分香霖堂(こうりんどう)ですね。

扉には『営業中』の札が掛けられていた。

僕は扉を二、三度ノックしてから扉を開きました。
カウベルが鳴り、入った先は薄暗い店内が待っていた。

しかし、本来店員か誰かが居るであろう台の場所には誰の姿もなかった。
営業中……なのでは?

僕が勝手に店内を見渡しているとようやく奥から誰かが出てきました。

「(扉を叩いた、となるとちゃんとした客の様だ) 待たせてしまってすみません」

出てきたのは銀髪、黄色い目をした普通の人間とは少し言い難い20代位の男性でした。

紗希「初めまして、ですけど営業中の立て札を起きながらそこに居ないのは如何なものかと思いますよ」

「最近は普通の客が少ないものでして……そこの無礼は許して頂きたい」

紗希「大して怒っている訳ではありませんからいいです。 ところで探し物があって来たのですが」

「どの様な物をお探しでしょうか?」

僕は店員に若干の違和感を感じながらも自分の欲しい物を具体的に説明しました。









「あるとは思いますが何しろこの店内ですので少々お時間を頂けないでしょうか」

紗希「自虐的な発言ですね。 でしたら普段からの整理をお勧めしますよ」

「整理をしてもすぐに元通りになってしまうので余り無駄な事は致さないのですよ」

紗希「片付けが苦手で?」

「そうではありませんよ、ちょっと厄介な人達がいまして」

店員はそれだけ言うと再び奥に消えていってしまいました。
厄介な人達?

何だか分かりませんが彼も苦労しているのでしょうか。

僕はきっと持ってきてくれるだろうと信じて店の中の物を見ている事にしました。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ