東方幽奏希

□マイペースな人と心配性の人と
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俺が手伝ったご飯の準備も終わり、恐らく昼頃に使った卓袱台に先より二割程増された量の料理が並べられました。

幽々子さんはあれで腹八分と言っていたのでこれで丁度という事でしょうか。

幽々子「あら、予想とは裏腹に随分早く終わったわね」

妖夢「予想を裏切る形で紗希さんが活躍しまして」

紗希「俺だってやれば出来ます!」

しかし料理って楽しいものです。
俺は記憶を失う前は料理というものが得意だったのか好きだったのか、とにかくやった事あるのかも知れません。

幽々子「じゃあ少し不安だけども食べましょうか〜」

紗希「不安? 一体何がですか?」

幽々子「こっちの話よ〜」

幽々子さんはそう答えた後、妖夢を手招きして会話を始めました。

幽々子「妖夢、紗希ちゃんに変な事させてないわよね?」

妖夢「変な事は沢山ありましたが料理に関係した変な事はありませんでしたね」

幽々子「そう、ならいいわ」

紗希「幽々子さん、何を話しているんですか? なんで僕一人省いちゃうんですか」

幽々子「ごめん……って今一人称僕になってなかったかしら?」

紗希「そうでしたか? 自然に話していたので気づけませんでしたが……」

妖夢「何というか、あまりに自然過ぎて私も気づけませんでした」

幽々子「僕なのか俺なのか、統一させた方がいいわよ? 変に感じちゃうもの。 因みに僕の方が違和感無いわよ」

紗希「なら僕にした方がいいですかね。 そう言うって事は俺という一人称が合わないって事になりますしね」

幽々子「さっ、話が逸れちゃったけど食べるとしましょ〜」

幽々子さんの号令で、俺――僕達はご飯を食べ始めました。

紗希「…………?」

三人でご飯を食べている間に僕は何か違和感を感じました。
気のせいで無ければ、誰かに見られている気がするのです。

辺りに幽霊の姿は見当たりませんし、妖夢や幽々子さんの視線ではありません。
それのせいで自然と辺りを見渡してしまいます。

妖夢「紗希さん? そんなにキョロキョロしてどうしたんです?」

紗希「いや、誰かに見られている気が……気のせいかな」

妖夢「気のせいじゃないですか? 誰の姿も見えませんし。 幽々子様はどう思います?」

幽々子「気のせいなんじゃないかしら〜 だって誰も居ないのでしょ〜?」

紗希「……そうかも知れません。 僕の思い込みかも知れませんね」

ただ、こんな事は初めてじゃない気がしてしまいます。
前にも同じ様な事があった様な気がしてなりません。

箸を置き、僕が何となくで脇腹の辺りで手を握ると空を掴むと思っていたのに何かをガシッと掴みました。

紗希「……へっ?」

自分の手へと目線を送ると確かに僕の手は誰かの手首をしっかり掴んでました。

しかし、その手は何もない場所に生じている亀裂の様な所から出てきているのです!

紗希「うわあぁぁっ!!」

ガッ!!

紗希「いった……!」

予想外過ぎた僕は思わず飛び上がってしまい、卓袱台に足を強打してしまいました。

妖夢「ちょ、ちょっとどうしたんですかっ!?」

紗希「へ、変な手が出てきてた……」

妖夢「変な手!?」

幽々子「……やっぱりね。 居るのでしょ〜? 悪戯は止めて出てきなさ〜い」

幽々子さんがそう声を出すと僕の右側、誰も居ない方から声がしました。

妖夢「あぁ、あの方の仕業ですか」

幽々子さんと妖夢は勝手に納得していますが、僕には意味が分かりません。

そして、僕と同じくらいの大きさのさっきの亀裂の様なものが右横に出来ました。

紗希「な、何事なんですか一体……」

僕が思わずそう呟くと何故か後ろから頭を叩かれました。

紗希「っ!?」

?「全く鈍いわね。 貴方の探している姿は此方よ」
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