東方幽奏希
□意外な出会い、進む信頼
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確かにこのお店は変な物ばかりでした。
透明な板の付いた四角い箱。
小さい折り畳みが出来る不思議な物体。
なんだか分からない物で沢山ですが、何となく記憶に突っ掛かる様な物ばかりです。
「待たせてしまって申し訳ない。 これなんかはどうだい?」
店員さんの持ってきた物は確かに僕の欲しい通りの物でした。
しかし……
紗希「なんで二つあるんですか?」
「良いところに気付いた。 これはちょっとばかし不思議な物でね。 身に付けている者同士の意思を伝える力とそれを受け取る力が備わった一品だ」
紗希「それって考えている事が駄々漏れじゃないですか」
そんな物を付けていたら数個の理由でおかしくなってしまうのではないでしょうか
「ただ、本当に伝えたい事しか発信しないし受信しない様に出来ているみたいだから日常生活にはあまり意味がなさないかもしれない」
紗希「そうなんですか、ではそれで構わないです。 値段なんですけど――」
僕がそこまで言った所でそれは突然やって来た。
店の扉を乱暴にぶち破り何かが入ってき、煙が舞い飛び視界が一気に悪くなった。
僕と店員は突然の事過ぎて驚き、開いた口が塞がらない状態になっていた。
「ててて……いきなりなにすんだ!」
「どうせアンタもあの紅白の仲間でしょう!?」
突然の事過ぎて何が何だか分かりません。
そもそもこの二人の少女は知り合いなのでしょうか。
「……霊夢、また何かしたのかい?」
「なんでもかんでも私じゃないわよ」
僕が驚いていると奥から更にもう一人出てきた。
もしかして……これが厄介な人達?
「紅白見つけたー! ってあれ? 紅白じゃない」
「今はブルーなのよ」
「やはり君じゃないか」
ど、どうやら面倒なタイミングでこの店に来てしまったのでしょうか……?
とりあえず僕は最初に扉を壊して入ってきた子に話し掛けました。
紗希「えと、大丈夫……ですか?」
「んっ、あぁ、大丈夫だ。 この程度痛くもないぜ」
この程度?
あからさまに大ダメージを受ける様な勢いでしたが。
女の子は立ち上がると服に付いた埃をパンパンと払います。
「なんで君等は折角普通の客が来ている時に……」
紗希「あー、厄介な人達ってやっぱり……」
「私を無視するなー!! そこの赤いの……今はブルーのアンタ! とにかく私の本は返してもらうわ!」
ぼろぼろになった服を着ている女の子は何やらかんかんです。
一体何があったというのでしょうか。
「まぁ返せってもねぇ、既に私の手には無いのよ。 諦めなさい」
「そんな理由で諦める訳ないでしょ! アンタ盗品を売ったわけ!?」
僕が辺りを見回すと店員が一人の少女を睨み付けていました。
「……ほら、魔理沙! あんた暇そうだしやり返しちゃいなさい」
「霊夢が撒いた種に私が巻き込まれたんだろ。 それこそ、張本人のお前がやれよ」
「こんな服じゃまともに動けないのよ。 大して面倒な相手でもないわよ、魔理沙なら」
「復讐の相手を私にやらせようっていうのか。 全く、霊夢って奴は……」
僕が声を掛けた子はもう一人の少女を無理矢理外に引っ張っていきました。
「……申し訳ないね。 変な事に巻き込んでしまって」
紗希「いえ……少し驚いただけですから。 ……嵐の様ですね」
あの短時間で扉と物を数個巻き込んでいます。
「全くだ。 ともかく、片付けが意味を成さないという事、理解していただけたかい?」
紗希「そうですね。 さっきは何も知らずに話してすいませんでした」
「霖之助さんが出てこない様にと念を押した訳が何となく分かったわ」
「生憎、君が出てこなくても変わらなかったけどね」
話を聞いている限りでは店員の方は霖之助。
紅白と言われていたブルーの子は霊夢。
色々巻き込まれた黒い服の子が魔理沙。
店員の霖之助さん?は何故か突然僕に疑問を投げ掛けてきました。