東方幽奏希

□意外な出会い、進む信頼
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〜白玉楼〜

妖夢「只今帰りましたー」

すっかり荷物が重くなったので少し遅くなってしまいました。
早く夕御飯の準備をしないと。

幽々子「お帰り〜妖夢〜 ってあら、紗希ちゃんは?」

妖夢「紗希さんなら出された課題を終わらせる為に欲しい物を探しに行きました。 私は生物の食材を持っていますし夕御飯の準備がありますので先に帰って参りました」

幽々子「……紗希ちゃんって人里から冥界に戻る方法知っているのかしら? もしくは教えたの?」

妖夢「――あ」

そう言えば紗希さんは冥界への戻り方を知りません。
だから私が一緒に居たんでした。

幽々子「妖夢〜?」

妖夢「ご、ごめんなさ〜い! 今すぐ、最高速で探してきます!」

幽々子「はぁ、その必要は無いわ。 もっとすぐ連れ戻せる人が丁度居るから〜」

妖夢「えっ、それって……」

幽々子様は今にも飛び出そうとしていた私を止めて居間に来る様に言いました。

私が居間に向かうと予想通り八雲紫様がいました。

紫「話は聞いていたわ。 普段のドジは可愛いものだけど今回は笑えないわよ。 雪も降りだしているわ」

妖夢「強く反省しています……」

幽々子「と言うわけ悪いけど能力を使ってぱぱっと紗希ちゃんを回収しちゃって欲しいのよ」

紫「それくらい御安い御用よ。 彼が居ないと話にならないわけだし」

紫様は境界を操りスキマを開きました。

紫「……あら? 人里には居ないわ。 森にも山にも居ないわね」

ま、まさか本格的に行方不明――
私が最悪なケースを考えて申し訳ない気で一杯になっていると正面戸が開いた音がしました。

妖夢「わ、私が見てきます」

私が玄関を見に行くとそこには紗希さんの姿がありました。

紗希「ただいま、妖夢。 なんとか帰ってこれたよ」

な、な、なななんで紗希さんが!?











〜白玉楼 居間〜

妖夢「本当にすみませんでした!!」

紗希「いいよこれくらいは。 戻ってこれてはいるんだしね」

紗希さんが何事も無く帰ってきたのは素直に嬉しいのですが……

妖夢「にしてもどうやって結界を飛び越えたのですか?」

紗希「結界?確かに同じ様な場所をぐるぐる回っている感じが途中したけど、いつの間にか冥界に戻れてね」

妖夢「いつの間にかって……」

そんな適当な結界だった覚えが私にはありません。

幽々子「何はともあれ、無事に戻ってきてよかったわ〜」

紗希「ははは……実は少し焦ったんですけどね」

幽々子「で、大変な所から帰ってきて早々悪いのだけどお財布を出してくれるかしら〜?」

紗希「どうぞ。 出来る限り残しましたよ」

財布の中を確認する幽々子様。
……なんだか緊張してしまいます。

幽々子「あら、予想以上に残ってるわね〜 どんな裏技を使ったのかしらぁ〜?」

紗希「僕が考えられる範疇で考えて出した結果です。 妖夢と二人で協力して」

妖夢「そんな。 私は何もしてませんよ」

これは結構本心です。
紗希さんが全部考えたんですから。

紗希「いやいや、妖夢が居ないとどうにもならない事も沢山あったよ。 魚屋でも妖夢のお陰でヒントを掴めたし八百屋では僕は何もしていないからね」

紫「つまりの所二人じゃなかったら出来なかった、と言いたいわけね」

紗希「はい。 って紫さん居たのでしたら話に入ればよかったじゃないですか」

紫「私は何の話だか分かってないのよ? 話に入る方が難しいわ」

紗希「そうですね。 紫さんなら何でも把握している感がありまして」

非常に同感できます。

紗希「っと今はその話じゃなくて……ほら、妖夢。 お土産」

妖夢「わ、私にですか?」

紗希さんが私に差し出した物は黒い布の様な物でした。

紗希「リボンっていう物らしいよ。 偶々人里で見つけて妖夢に似合いそうだから買ってきた」

妖夢「リボン?」

幽々子「あらあら〜 優しいじゃないの〜」

紗希「妖夢は少しなりともおしゃれに興味を持っていたのを思い出しましたから。 とりあえず、と思ってこれを」
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