ユリリタ
□メリークリスマス
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―メリークリスマス―
【拍手御礼】
今日は聖夜と言われる12月24日。
お祭り好きのギルドが揃うダングレストの夜は屋内外でパーティが開かれている。
もちろん、ユーリたちも賑やかな屋台や飲み屋に寄っていた。
エステルとカロルはいろいろな人と踊り、レイヴンとジュディスは振る舞われる珍しい酒類に舌鼓を打つ。
フレンは真面目に街中を見回っているらしい。ギルドの街で意味があるのかは不明だ。
そんなお祭り騒ぎを静かに見詰めているのがリタだ。
「ほら」
「……お酒?」
「ジュースだよ」
飲み物を渡すユーリをリタは疑ってかかりつつ一口飲む。本当にジュースだった。
リタとしては、早く帰りたいところだが、なんとなく付き合っている。
それは、ユーリが居るから。
「ちょっと外行くか?」
「……いいけど」
寒いから嫌だと言うところも、ユーリの誘いは断らない。
素直とは言い難い反応ではあるが、それでもユーリは口角を上げる。
外も騒がしく昼間のように明るい。それを避けるように二人は橋まで歩いた。
澄んだ空気に星が綺麗に輝く。
リタは空を見上げて白い息を吐いた。
「リタ、手」
「は?」
突然言われて手を出したリタに、ユーリは小さな何かをリタの手に乗せる。
「何よ、コレ」
「ソーサラーリングの代わりだよ」
答えを聞きながら自分の手のひらを覗くと、装飾品としてよく売っているリングのどのリングとも違うものがあった。
珍しい宝石は、リタも少し考えてしまうほどだ。
「……これって…!」
驚いてユーリを見上げて、リタはリングと交互にもう一度見る。
ユーリは笑いながらリングを一度取り上げてからリタの左手の薬指にはめた。
「あ…あああんたっ…何考えてんのよっ?」
「ソーサラーリングはもらっちまったしな。リタに似合うだろ、赤だし」
「そういう問題じゃ…っ」
リタが慌ててリングを嵌められた手をユーリに向ける。取れ、という意味を込めて。
と、溜め息をついてユーリはリタの後頭部に手を回し、リタが上を向いた瞬間に唇を重ねた。
一瞬の出来事だが、リタは驚きのあまり固まってしまう。
「…こういうことだから、ちゃんと嵌めておいてくれって」
リタが固まっている隙にユーリはそう言って踵を返し手を振る。
ユーリを見送ってから顔を真っ赤に染めて、リタは橋に頬杖をついた。
「…バカっぽい…」
リタは嵌められたリングを見詰めて顔をしかめる。
この紅い宝石はユーリの魔導器に付いている魔核の中の小さな一粒に違いない。
あの魔導器はユーリにとって特別なものだと知っているのでかなり焦った。
しかもキスまで。
「そういうこと…って何よ…」
ちゃんと言葉で言って欲しい。
そこまで考えてリタはやめた。
ともかく今はユーリへの「お返し」を考えながら、顔を冷ますことに集中したのだ。
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メリークリスマス\(^o^)/
な、内容にならなかった気がしますが
気にしない!
リタのお返しはまたいつか
20121223