sonic
□甘いものはお好きですか?
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暑い。とにかく夏は暑い。
イライラしていますと言わんばかりの表情に、フレアまで暑さでイライラしてきたが、自分が手を止めればその打開策がなくなるため我慢する。
「何故夏はこんなにも暑いんだ。」
「そりゃ、太陽が一番長く出てる時期だからでしょ。」
「暑い。暑くて脳が沸きそうだよ。」
「だったらクーラーつけたらどう?」
「君は夏場にくう電気代がいくらかかるか知ってるかい?」
「・・・そーゆーとこ結構メフィレスって家庭的よね。」
愚痴をこぼしているのは、真っ黒な針ネズミ。ソファがあるにもかかわらず、冷たいからとフローリングの上で横になっている。
たまに体温で暑くなった場所からゴロゴロと転がって移動している姿はなかなか滑稽である。
超次元生命体がこんなことでいいのだろうか?
「あぁ、限界。そろそろ覚醒しそう。」
「おい、人ん家壊す気か。覚醒なんかしたらアイスあげないからね。」
その単語に彼の耳がピクリと反応した。
メフィレスから立ち上る覚醒しそうなオーラがしゅしゅしゅとしぼんだ。
「アイスだって?」
「うん。バニラでいいなら今作ってるから、出来たらあげるよ。」
そう、手元にあるのはアイスメーカー。かき混ぜるだけでアイスが作れるという。
アイスと聞いたメフィレスは、これを逃すわけにはいかないと思ったのか、目を爛々と輝かせた。
「キミには平伏するよ。」
「はいはい。わかったからソファー座って。」
そこからのメフィレスの行動は速かった。
言われた通りにちょこんと座るメフィレスはなかなか可愛い。
そんな彼にガラスの器に入ったアイスを渡す。
「ーっ、美味しいね。」
「そりゃよかった。あんまり食べ過ぎるとお腹が冷えるから程々にね。」
さっきまでのだらけっぷりからは想像出来ないほど、アイスを食べるメフィレスの手はよく動いた。
口はモゴモゴしていて食べているのはわかるが、なにぶんどこに口があるかわからないのでそこはスルー。
「甘いね。」
「甘いの嫌いだった?」
「前まではあんまり好きじゃなかった。でも、今は好き。」
「そっか。メフィレスが元気になったようでよかったぁ!」
バテてたもんねー。と言うフレアに、メフィレスはきっと自分が言った意味を理解してくれてないなと思いながら、またアイスを口に運んだ。
(フレアはボクに、優し過ぎるくらい甘いんだから。)