ストロベリーウォーズ

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「誰?ランマル?」
「うん。恵さーいちご大福持ってくるって電話してきたくせに来ないからさー!やっぱり蘭丸のとこにいたし…。もー!」


ところ変わって美風藍の家では、もう一人の酔っぱらいが喚いていた。
先程の電話の主で恵の友人のゆきだ。

「いちご大福くらい別にいつでも食べられるでしょ…」
「お土産くれるって電話くれたんだよ??なのに彼氏んちとかって!しかも来てすぐ爆睡とか酷い!女の友情って何!!いちご大福食べたい食べたい食べたい!食べた、っんぐ!」
「うるさい」

どれだけ大福が食べたいんだ…と藍は深くため息を吐き、とりあえず黙らせるために手でゆきの口をふさいだ。
あっちもこっちも酔っぱらいだらけで、少しだけ蘭丸に同情したが、あちらの彼女はすぐに寝てしまうようだから楽だろう。
いっそこちらも無理矢理寝かせてしまおうか…
息が出来ずもがくゆきを尻目に藍は考えていた。


「あ、ごめん」
「ぷはっ………はぁ…酷い藍くん!!!」
「それよりランマルなんだって?」
「朝持ってきてくれるって」
「大福を?」
「うん」
「………………」

藍はうっかりため息を吐きそうになったがため息を吐くのすら面倒になり、もはや無表情。


ん?

朝持ってきてくれる?


「ねえ、ゆき」
「なにー?」
「どこに、持ってくるの?」
「え?」
「え、じゃないよね」
「あ…」



はあ…

どうやら彼女は自分が藍の家にいることを蘭丸に伝えていないらしい。
どうしよう…と青ざめる彼女に藍はじゃあ寮に帰れば?と言い放つとソファーの上のクッションを投げ付けられた。

酒気帯びの彼女をこれ以上刺激したところでメリットは無い。
藍は不貞腐れるゆきを片腕で引き寄せ、胸におさめた。

空いた片方の手で携帯を取りだし、電話をかける。

相手はもちろん黒崎蘭丸。


「あ、ランマル?」


時間も時間だ。
簡潔に要点だけを話して電話を切った。

「明日はとりあえずここに来るようにランマルに言ったから大丈夫でしょ…」
「ありがとう。藍くん優しい。大好き」
「随分とゲンキンだね」


そっと、ゆきの肩口にキスを落とすと、耳元で漏れた息が藍を刺激した。

このままするかしないか…

藍は悩んだが、ゆきを寝かせないと明日に響く…ということで、ベリッとゆきを剥がして「さ、寝るよ」と横抱きにしてベッドへと運ぶ。

「えー!しないの?」
「今日はしないよ。明日に響くと困るからね」
「ぶーぶー…」
「はいはい」



口を尖らせて不貞腐れるゆきを唇で塞ぐと、満足したのかゆきはすぐに眠りについた。



藍も充電をするためにコードを繋ぐ。

そして、もぞもぞとゆきの隣に潜り込んで頭を自分の腕に上げて藍も目を閉じた。













13/4/26up....

 

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