ストロベリーウォーズ

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翌朝。

恵は目を覚ますと目の前に蘭丸が居ることに驚き軽く悲鳴をあげた。

「………っるせー…何なんだよ…」
「なんで蘭丸いるの…」
「…ここはおれんちだ…」
「え、なんでなんで…」


黙れとばかりに起き上がった恵の頭を自分の胸へと引き寄せて閉じ込める。
訳が分からない恵はもがいてもう一度頭をあげて「起きてよ!」と反撃をした。

昨晩の記憶が若干薄れているため、訳が分からないのは蘭丸も一緒で、覚醒しきれていない脳みそで目を閉じたままなんとか状況を整理してみる…

酔っぱらった恵が来る→寝る→ゆきから大福まだかと電話が来る→恵がゆきの元へと大福を届ける約束をしていた→恵は寝たので朝届けると約束→藍から電話が来る→ゆきは藍の家にいる→………。


「やっべ…今、何時だ!?」
「ぅっ…わっ」
「あ、ぶねぇ。わりぃ」

急に起き上がった衝撃で恵を床に落としそうになったが、すぐに引き寄せて抱き止めた。


「今…8時過ぎたくらい、かな?」
「……8時か…とりあえず行くぞ」
「どこに?」
「藍んち」
「へ?」
「へ、じゃねえよ…。はぁ…、とりあえず出る準備しろ、説明はあとですっからよ…」

…と、言っても恵がなぜだか動かない。
蘭丸は眉を潜ませて「…恵?」と問うと「うー…もうちょっとこうしてたいかも…」そう言って恵は蘭丸の胸に顔を押し付けた。




…………………………。


…………………。





蘭丸は心の中で葛藤していた。


したくなるじゃねぇかああああああああ!!


いや、これは完全にするパターンだろ…

と蘭丸は思ったが脳裏に過るは藍の顔。



…くっそ、ありえねえ。



「………恵…」
「ん?」
「これ…なんだかわかるか?」
「え?」

蘭丸はビニール袋を恵に見せた。
中身はもちろん例の大福だ。


「いちご大福…?」
「…そうだな」
「…………………」


…………………!!!!!


「あああああああああ!!!!!ゆき───────っ!!!!」



…思い出したか。


ため息を吐く蘭丸に恵は涙目でどうしようどうしようと訴えた。



「まあ落ち着け。そのゆきだが、今藍んちにいる」
「あ、だから美風さんちに行くって話か!」
「そういうことだ。とりあえず朝来いって藍に言われてんだよ…。そもそもおまえがゆきんとこに行かねえでおれんちに来たのが悪ぃんだ」
「なんでだろね…」
「いや知らねえよ。つか時間が無え………。くそっ…」

「…はぁ…」



気だるくため息を吐き、蘭丸から身体を離したが、急に引っ張られて恵は小さく悲鳴をあげたが、唇を塞がれたことで声にはならなかった。


「…すぐ終わらせる…」


そう耳元で囁くと少し乱暴に恵を組み敷くと、蘭丸は首に口付けした。

「…っ、ん……ちょっ…蘭丸…、時間ないとか言った…くせに…っ!」
「…っ……はあ………、……いや、だからすぐ終わらせるって言ってるじゃねえか…」
「………ん…っ…でも、」
「本当はゆっくりとお前を愛したいんだ……。これでもだいぶ譲歩してんだぜ…」
「………ばか。」



次、いつ二人になれるか分からない…。

遅刻するとなると恐怖と申し訳ない気持ちが入り交じるが二人は止まることなくお互いを求めあった。









13/6/17up....


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