うたプリ短編

□血の代わりに愛を
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「血が足りない…」

朝起きると、手や足の先に力が入らず…思わずそう呟いた。

そうだった…昨日、月に一度のアレが来たんだった。
今日は2日目…きっつい。
幸いにもオフで、寮にこもって作曲する予定だったから本当に助かった。

もうちょっと寝たい…
と瞼を閉じた瞬間、ブー…と携帯が鳴った。
面倒なので出ない。

何分後かは記憶が混濁して分からないが…今度は部屋の呼び鈴が鳴っている。
しまった…さっきの電話は事務所だったのか…?
とりあえずだる重な体に鞭を打ち、よろよろと玄関へ向かう。

そっと覗くと…まさかの人物。


「トキヤ…?あれ、どうしたの?」

扉を開けて、きょとんとするとトキヤはとてつもなく怪訝な表情にした。

「どうしたの?じゃありません。」

部屋へと入り私をぎゅっと包み込みながら器用に扉を閉めて鍵もかける。
相変わらず抜かりない男だなぁ。


「▲▲…こんなに心配させて…あなたは私をどうしたいんですか…」
「…へ?私、なんかした??」
「何言ってるんです…私が何度電話したと思ってるんですか」
「うっそ…」
「嘘じゃありません」
「んー…ごめんあとで携帯確認してみる」
「どうしたんです?貴女らしくもない…」
「ちょっとだるくて深い深い眠りについていたわ…」


トキヤは私の頬を優しく両手で包んで見つめてきた。
イケメン過ぎて目が離せません…。

「確かに顔色が悪い…」
「ノーメイクなんですスミマセン」
「そうではありません。ちゃんと食べてますか?睡眠は?」
「食べてるし寝てる」
「病院に行きましょう」

完全に病気だと思われている。
違うの、アレなの!
男の子になんて説明すりゃいいんだ…。

「ち、違うの。とりあえずリビングに行こう?お茶入れるから」
「………」
「っ…」

トキヤから離れてリビングに向かおうしたらうっかりふらついてしまった…。
くそぅ…

「▲▲!!やっぱりどこか悪いんじゃ…」
「…だ、大丈夫。ただの貧血だから」
「貧血…?じゃあ横になってください」
「やだ。せっかくトキヤ来てくれたのに。病気じゃないんだから大丈夫だよ!!月に1回来るもんだし!!」


あ。

うっかり言ってもうた。

気まずさでトキヤの顔が見れない。
どうしようどうしようどうしようどうしようと頭でループしていたら急に身体が宙に浮いた。

「ちょ、トキヤ!?」
「それなら尚更でしょう」

私を抱っこしながら、向かうは寝室。

優しくベッドに私を下ろして布団までかけてくれた。

「暖かくして、今日はゆっくりしなさい。むしろ押し掛けてすみません。貴女とぜんぜん連絡がとれなくなって…心配になってしまって…」
「え、やだ、帰らないで」
「…▲▲」

トキヤの服の裾を掴んで訴えると、「まったく、貴女は…」とため息混じりに言い、ゆっくりと優しいキスが降ってきた。

「っン……、…」

息ができなくなりそうなくらい…艶かしいキス。

唇が離れていくのが名残惜しくてトキヤの唇を目で追ってしまう。

「トキヤとのちゅー大好き」
「私も好きですよ」
「はぁ…ダメだ…性欲が増しちゃう」
「……………▲▲」
「あ、アハハハ、ごめんごめん。何かね生理の前後ってね…妙に性欲が…」
「分かりました。終わったらしましょうね。たくさん貴女を愛します」
「わーい」
「さてと…▲▲、食欲は?」
「あります」
「じゃあ鉄分たくさん取れる料理でも作りましょう。それまで大人しくできますか?」
「うん!」
「良い子ですね」

ちゅっとおでこに軽めなキスを残して、トキヤは寝室を後にした。


本当に本当にトキヤは優しい。
なんで彼がこんな私を彼女にしてくれたかはいまだに不明だけども、とても幸せ。


キッチンの方から水音が聞こえてきた。
一応冷蔵庫には色々入っているから何かしら作れるだろう。
楽しみ。



血が足りなくても、トキヤのおかげで元気はたっくさん補充できた。



「トキヤ―――!大好きー!!」




ベッドの上でありったけの声で叫んでみた。





ガチャン


あ。


何か音がした。

割ったなトキヤ。




大好き。







end...12.11.30


…トキヤって料理できたっけ?(忘)

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