優しさのluce

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寮に戻ってからすぐにパソコンの前に座り、検索サイトを開いてある人物名を入力した。
そりゃもちろん、美風藍。

16歳…か。
えっと、私が17歳設定だから1個下…実際は4個下…うわーイタタタタ。
身長178cm…高っ。
こんなにかわいい顔して178もあるのか…すごいなぁ。
来栖や四ノ宮と歌ってるとこを見たことあるけど、そんなに大きく見えなかったけれど…。
四ノ宮と並んでたからか?

体重と血液型は公開していないようだ。
アイドルではありがちよね。


つかこれくらいしか分からない…。

とは言いつつ、私自身の情報も美風藍並みに少ない。
墓穴掘らないようにするためだけどね、あはは。
美風藍も意外に年齢詐称したりとかしたりして。
身長とかも詐称してたりさ、アイドルあるあるだよね。




―――ブーブーブー…

メールだ。
液晶を覗くと日向先生と表示されていた。

『明後日、AM10時より事務所にてデュエットソングの打ち合わせだ。遅れるなよ。』

手早く「お疲れ様です。了解です。」と打った。


いよいよ会うのですね。
決意も新たに携帯をパタンと閉めた瞬間、、、

―――ピンポーン……

インターホンが鳴り、そっとドアスコープを覗くと知った顔がそこにいた。

来栖??

「どしたの、来栖。久しぶりだね」

扉を開けて話しかけると来栖は爽やかな笑顔で「よー」と軽く挨拶をしてくれた。

立ち話もあれだし、とりあえずあがってもらい、私はお茶の準備をする。

「お前の好きなドーナツ買ってきたぜ」
「え、マジで。じゃあ紅茶にしよっと」

お茶から紅茶に変更。
来栖は本当に優しいなぁ。
遊びに来るときはいつも私の好きなものをお土産に持ってきてくれるんだ。

「はい、どうぞ」

来栖の前に紅茶を差し出すとサンキュと笑ってくれた。
うお。
デビューしてから更に笑顔がアイドルらしくなったので、プライベートで会っても眩しい。

「…●●…お前何やってんの」
「あ、いや、来栖があまりにも眩しくて」

太陽でも見るかのように眩しい!的なポーズをしている私に来栖は半ば呆れ顔だ。

「で、来栖は何しに来たわけ?」
「うわ、急に冷てぇ(笑)」
「だーって用もないのに来るわけないじゃん」
「ま、まぁそりゃそうだけどよ…」

言いながら来栖は紅茶をぐいっと飲んで、はぁ…とため息を吐いた。

「お前さ、藍と組むんだってな」
「あー…うん。先生から聞いたの?」
「いや、藍から聞いた」
「へー。あ、そうだ。ねえ、美風さんて年齢とか身長とかさ、なんかいろいろ詐称してないの?」
「ブフっ!!!」

来栖が急に飲んでた紅茶を吹き出し、咳き込んだ。

「あ、いや悪ぃ…」
「何その反応」

明らかに何かに反応したんだけど…なんだ?
やっぱなんか詐称してんだろうか。
もう一度チラリと来栖を見ればすまし顔で優雅に紅茶を飲んでらっしゃる。
こいつ何か知ってるな…。
まぁ、数ヶ月一緒に暮らしていたし、何かしらは知ってるんだろうけれど…。

「…ゴホン。あー…えっと、藍は特に詐称はしてねーよ」
「あ、そう」
「強いて言うなら顔でイメージして近づくと痛い目みるぞ」
「は?」
「お前、藍をどう思ってる?」
「かわいい」
「…………」

やっぱり、といった表情。

「だって情報少ないんだもん!!!絡みもないし、見た目で判断しかないじゃない!」
「まーそうだよな。とりあえず、友達の好として教えといてやるよ」

そう言うと来栖は語りだした。









………………………。


来栖に与えられた情報により、私はとてつもなく逃げ出したい衝動に駆られた。





と、とりあえず………明後日の打ち合わせには30分前には居るようにしよう。


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