優しさのluce

□4
1ページ/1ページ



どきん、て何だ。

胸の高鳴りに、疑問を抱いたけど、急に右の視界がぼやけてそれどころじゃなくなった。
繋いでいないほうの手で右目にそっと触れると……指先が赤く染まった…



血!!!!!


「ちょ、待って!美風さん!」
「…なに?…………」

私の声に振り向くと、美風さんはまた怪訝そうな表情に変わった。

「血、出てるね」
「ですね…。さっきなんか破片が頭に落ちてきたからなぁ…。」

「…ハァ………。打ち合わせは中止にしよう」
「え、」
「キミの手当てが優先」
「………………」


美風さんがどこから取り出したか分からないけれど、ハンカチを私に手渡してくれた。
どうやら血を拭くように、だろうけど…いいのだろうか…お手洗いのあとにハンカチ借りる〜なんてノリとまた違う…。
血ですよ、美風さん。
洗って落ちるか分からないし。

「洗濯しても落ちないなとかそんなこと気にしなくていいから。使い終わったら捨てていいよ」

こ、心を読まれた…。

「ありがとうございます」

素直にお礼を言い顔に付いた血を拭くと自然と「ひぃ…」と声が漏れてしまった。
月のもので見慣れてるとは言え……グロテスクだ。


「頭の怪我は傷のわりに血が出るらしいからね」
「あ、はい…そうですよね」

再び繋がれた手にまたどくんと胸が高鳴った。


仮にもこの子は4つ下…
なんでドキドキするんだろう。
来栖の情報であんなにびびっていたのに。


「美風さん…」
「なに?」


「…ありがとう」

「それはさっき聞いたよ」
「あ、さいですか…」





12.12.02


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ