優しさのluce
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どきん、て何だ。
胸の高鳴りに、疑問を抱いたけど、急に右の視界がぼやけてそれどころじゃなくなった。
繋いでいないほうの手で右目にそっと触れると……指先が赤く染まった…
血!!!!!
「ちょ、待って!美風さん!」
「…なに?…………」
私の声に振り向くと、美風さんはまた怪訝そうな表情に変わった。
「血、出てるね」
「ですね…。さっきなんか破片が頭に落ちてきたからなぁ…。」
「…ハァ………。打ち合わせは中止にしよう」
「え、」
「キミの手当てが優先」
「………………」
美風さんがどこから取り出したか分からないけれど、ハンカチを私に手渡してくれた。
どうやら血を拭くように、だろうけど…いいのだろうか…お手洗いのあとにハンカチ借りる〜なんてノリとまた違う…。
血ですよ、美風さん。
洗って落ちるか分からないし。
「洗濯しても落ちないなとかそんなこと気にしなくていいから。使い終わったら捨てていいよ」
こ、心を読まれた…。
「ありがとうございます」
素直にお礼を言い顔に付いた血を拭くと自然と「ひぃ…」と声が漏れてしまった。
月のもので見慣れてるとは言え……グロテスクだ。
「頭の怪我は傷のわりに血が出るらしいからね」
「あ、はい…そうですよね」
再び繋がれた手にまたどくんと胸が高鳴った。
仮にもこの子は4つ下…
なんでドキドキするんだろう。
来栖の情報であんなにびびっていたのに。
「美風さん…」
「なに?」
「…ありがとう」
「それはさっき聞いたよ」
「あ、さいですか…」
12.12.02