優しさのluce
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誹謗中傷。
アイドルになると決意したあの日からそれは覚悟していたけれど…実際のところ、それが現実になるとは思ってもみなかった。
「こりゃひでーなぁ…」
「酷いわねぇ」
「ですねぇ」
パソコン画面を見ながら日向先生と林檎先生のセリフのあとに私は続いた。
某巨大掲示板に私のトピックスが上がり、ただいま炎上中。
今日はCD発売の情報解禁日。
どうやら美風さんのファンがご立腹なようで。
ですよね…誰だあいつ的な感じだよね…。
数日後には私宛の封書も増え、ほとんどが悪口だった。
調子に乗るな。
ブス。
藍ちゃんを踏み台にするな。
ぁその他諸々。
もちろん中には応援してくれるファンいる。
だから頑張れるんだ。
しかし、そんな気持ちをも揺らがす出来事が起こってしまった。
それは某トークバラエティの収録終わり、テレビ局を出ると…出待ちをしている女の子二人組がいた。
きっと出演していた男の子のファンかなと思い、通り過ぎようとしたとき…視線を感じた。
「あの…●●▲▲さんですよね…」
「…は、はい…そうです」
「ファンです…これ受け取っていただけますか?」
「え…?」
拍子抜けした。
だって絶対に苦情かと思って覚悟したのに、まさか手紙を渡されるとは…。
「ありがとうございます。大切にしますね」
「じゃ、じゃあ私はこれで。これからも頑張ってください!!」
それだけ言うとそそくさと去っていった。
今思えばこの時点で違和感に気づけば良かったんだ。
昔、女優の子が当時人気だった某人気アイドルの男の子とドラマでキスシーンを演じたとき、嫉妬したファンが女優の子宛に爆発物を送りつける事件があった…。
考えただけで寒気がしたけれど…
まさか自分がそんな目に遭うだなんてこの時は思いもしなかった。