Un sogno leggero

□今は
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気が付けば俺は、床で仰向けに寝ていた

今度はあの光もなく、見渡す限りの闇だった

荒い息を整え、立ち上がると、足にコツンと何かが当たる

下を向くと

そこには

ヅラや阪本、高杉の倒れた姿が目に入った

ヅラたちはぐったりした様子で動かない

目に飛び込んできたものに、思わず目眩がする

「なっ…んだよ…これっ…」

なんなんだ、さっきから

屍に追いかけられたり

先生に会ったり

床が崩れたり

おまけにこいつらまで

「オメーが犠牲にしたもんだよ」

「っ!?」

投げ掛けられた言葉に、体がびくりと跳ねた

顔をあげる

そこに立ってたのは、俺に似ても似つかわしい

白夜叉が立っていた

「お前の下らない優しさで犠牲になったもんだよ」

「犠牲…?」

白夜叉は見据えた目で言った

「そう、犠牲にしたんだよ

犠牲にして、お前は崩れた

この世界もだ

感情なんて要らねーだろ

ましてや、優しさなんぞ、必要あるか?

お前を愛さない世界に何がある

お前はオレと同じ破壊だけをすればいいのに

あの人を奪ったこの世界をなぜ

なぜ、愛す」

冷たい刀が首筋に当てられる

冷たいだけの、尖った鋼


「俺と同じ、化けもんの癖に」


「っ…!」

ピピピッピピピッ

鳥のさえずりが耳に響く

勢いよく飛び起きると、日の光に顔をしかめた

気分が悪い

胸がムカムカする

はあ〜…。と溜め息が思わず出た

…嫌な夢だ

ましてや、白夜叉が出てくるなんて

しばらくぼぅっと天井を見上げてると、襖が開いた

「ちょっと、銀さん。いつまで寝…って起きてるじゃないですか」

「なんだ…眼鏡か」

「朝から酷くないですか?」

困ったように笑う新八

襖の隙間からひょこっとまた顔が出てくる

「おうおう、銀ちゃんちゃんと起きてるアルか。」

「神楽ちゃん…。せめて酢昆布置いてきなよ…。」

コリコリ酢昆布の匂いを漂わせながら、神楽は顔をのぞかせた

すると、ふわっと飯の匂いが部屋の中へ入ってくる

「って、銀さん顔色悪いですよ?大丈夫ですか?」

「二日酔いアルかー?」

「あ、いや、何でもねぇよ」

笑って誤魔化す

「…何かあったら、遠慮しないで言ってくださいよ?」

「そうネ。私たち万屋、主役が居ないと始まらないアルよ!」

とびきりの笑顔で、二人は笑った

その笑顔を見ると、なんだか馬鹿らしく思った

何を悩んでいるんだ、俺には

「…そうだな。じゃっ、飯にすっか!」


“昔”は守れなかったとしても

俺には“今”がある


今は、今を守ればいい

こいつらを、守れていけたら

それでいい


(白い夜叉が)

(笑ったように思えた)
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