未来夢叶
□0:幼き日の約束
1ページ/1ページ
「ねぇ未来、雪って知ってる?」
それは、静かな夜。皆が深い眠りについたころ。
夜の暗闇を、月明かりが青白く照らす中、弟の叶は、双子の兄の未来に、そう尋ねた。
「ゆき? 何それ」
未来は尋ねられたものの意味がわからず、叶にそう尋ね返した。
「雪ってね、空から降ってくるものなんだって、白くて、冷たくて、ふわふわしてるんだって。今日本で読んだんだ」
ほのかな明かりの中、叶が微笑んだのが見えた。
「へぇ、そんなものがあるんだ。見てみたいなぁ…」
「ね、見てみたいよね! …でも、先生に聞いたら、もう雪は降らないって、きっともう見れないって言われちゃった…」
「そんなことないよ!」
未来は叶を見つめ、言った。
「きっと見れるよ! もう見れないなんて、そんなことないよ!」
「そう…かなぁ」
「うん、きっと!ゆきがもう絶対に降らないなんて、そんなこと誰にもわからないよ!」
未来の言葉に、叶は再び微笑んだ。
「そうだよね」
「そうだよ」
2人は顔を見合わせ、笑い合った。
「じゃあさ、未来」
「何?」
「約束しようよ」
叶はそう言って、未来に右手の小指を差し出した。
「いいよ」
未来はうなずいて、叶の小指に、自分の小指を結んだ。
「いつか2人で、見ようね。あの、真っ白な、雪を……」