図書館戦争・マクロスF

□読書の時間
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――似合わねぇ!―

その一言が私にとってはツラいものだった。
上にお兄ちゃんがいることもあって、母の望むおしとやかな女の子とはかけ離れた私は活発な元気少女として育っていた。そんな私が大人しく席について読書なんて、似合わないにも程があったと思う。
クラスメートが言うことは間違ってはいない。
ただ、私が読んでいたせいで持っていた本までバカにされた気分になってしまって悲しかった。

本が大好きなのに、好きなものに似合わない自分が嫌だった。
―――――――――――

郁と一緒に生活するようになって、ふと気になることがあった。
郁が読書してるとこを見たことがない。
タイミングの問題かと思ったがそうではない気がした。
そんな事を館内移動中に考えていたら後ろから声がかかった。

「堂上教官!幸せオーラ全開ですかぁ?」
「……柴崎……」
「嫌な顔しないで下さいよ?笠原は幸せオーラ出しまくりでしたよぉ!」
「そんな事はわかってる!」
「そうですよね。結婚しても変わらず、ずーーーっと見てますもんねぇ。」

「何が言いたい?」
ふふっと小さく笑い下から見上げるように顔を近づける柴崎。

「あの子、本読んでますか?」
気になっていた事を指摘され、眉間にしわが寄る。
「さすが教官です。気にはなっていたのでしょう?」
「お前は何を知っている?」
「んー。それは女の子同士の秘密です。ちなみにあの子、寮の部屋でも…」

ぱたぱたと聞き覚えある足音が近づいてくる。
「しーばーさーきっ!こんな所にいたの?隊長が探してたよ。あっ、堂上教官もいらしたんですね!」
「あら。笠原。では、堂上教官そういうことなので失礼します。」
郁に聞かせる気はないらしく、柴崎はその場を離れていく。


「なぁ、」
堂上が声をかけると郁は最近見せるようになったふんわり笑顔で答える。
「はい!何でしょう?」
「いや、あー今日は先に夕飯食べてて良いぞ?」
「?」

「残業するから帰り遅くなる。帰る前に連絡入れる。」
いつものようにポンと頭に手を置くと、これまた嬉しそうに笑い、頑張り過ぎないで下さいねと言い残し、郁は仕事に戻っていった。


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