図書館戦争・マクロスF

□いつまでも一緒
1ページ/1ページ


サイレンが鳴り響き検閲抗争の終わりを知らせる。



救護所には負傷者が運び込まれていた。

そこへ、大声を出しながら飛び込んできた二組。
「重傷者、二名だっ!」
医務員が素早く反応し指示を飛ばし、駆けつける。
「そこのベッドへ寝かせて下さい!」
隣り合わせのベッドに寝かされた二人の隊員を見て、手が止まる。
他の医務員も、息を詰まらせた。

今、隊で一番話題に上がっていた………近く結婚式を控えている、堂上篤と笠原郁が、血で隊服を染め上げていた。

「暴徒化した相手が近距離で散弾銃をぶっ放しやがった」

隊員の話で医務員たちは我に返り、急いで処置を施す。
微かだが呼吸はあり、医療機器を繋げていく。


出来る限りの処置を終えた頃、意識を失っていた、堂上がうっすらと目を開けた。
いつも隣にいた相手を探すように呼びかける。

「いく…」
張りのある声ではなく、ひどく掠れた…けれども甘く響く声。



騒がしかった救護所の中が静まり返った。

誰もが感じざる終えなかった。
――ふたりにはこれが最期なんだと。





隣で横になっている姿が視界に入り、もう一度名を呼ぶ。

「ぃく…」

「……ぁっ…」
郁が堂上の声に合わせて、声を出すが聞き取れず、医務員が酸素マスクを外す。

「ぁ、あつしさ…ん。どこ…」

今度は小さいながらも、聞き取ることが出来た。
今にも泣き出しそうな声で声の主を求め、ゆっくりと手を伸ばす。

「いく、ここだ。」
堂上が郁の手を掴み、互いの指が絡まる。

「よか…った…」
熱が伝わったのか、郁が堂上の方をわずかだが向いた。

「だいじょうぶ。オレがいる」

重傷にも関わらず、穏やかな笑みを浮かべている。

「はぃ…、あつしさん…」

安心できたのだろう。
郁が柔らかく微笑み、瞳を閉じた。

そして続く機械のアラーム音。



「…ずっと…一緒だ」
大事な人を見届け、堂上のアラームも最後を伝えた。




ふたりの指は絡まったまま、時がとまった。





.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ