図書館戦争・マクロスF
□いつまでも一緒
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サイレンが鳴り響き検閲抗争の終わりを知らせる。
救護所には負傷者が運び込まれていた。
そこへ、大声を出しながら飛び込んできた二組。
「重傷者、二名だっ!」
医務員が素早く反応し指示を飛ばし、駆けつける。
「そこのベッドへ寝かせて下さい!」
隣り合わせのベッドに寝かされた二人の隊員を見て、手が止まる。
他の医務員も、息を詰まらせた。
今、隊で一番話題に上がっていた………近く結婚式を控えている、堂上篤と笠原郁が、血で隊服を染め上げていた。
「暴徒化した相手が近距離で散弾銃をぶっ放しやがった」
隊員の話で医務員たちは我に返り、急いで処置を施す。
微かだが呼吸はあり、医療機器を繋げていく。
出来る限りの処置を終えた頃、意識を失っていた、堂上がうっすらと目を開けた。
いつも隣にいた相手を探すように呼びかける。
「いく…」
張りのある声ではなく、ひどく掠れた…けれども甘く響く声。
騒がしかった救護所の中が静まり返った。
誰もが感じざる終えなかった。
――ふたりにはこれが最期なんだと。
隣で横になっている姿が視界に入り、もう一度名を呼ぶ。
「ぃく…」
「……ぁっ…」
郁が堂上の声に合わせて、声を出すが聞き取れず、医務員が酸素マスクを外す。
「ぁ、あつしさ…ん。どこ…」
今度は小さいながらも、聞き取ることが出来た。
今にも泣き出しそうな声で声の主を求め、ゆっくりと手を伸ばす。
「いく、ここだ。」
堂上が郁の手を掴み、互いの指が絡まる。
「よか…った…」
熱が伝わったのか、郁が堂上の方をわずかだが向いた。
「だいじょうぶ。オレがいる」
重傷にも関わらず、穏やかな笑みを浮かべている。
「はぃ…、あつしさん…」
安心できたのだろう。
郁が柔らかく微笑み、瞳を閉じた。
そして続く機械のアラーム音。
「…ずっと…一緒だ」
大事な人を見届け、堂上のアラームも最後を伝えた。
ふたりの指は絡まったまま、時がとまった。
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