真の願い
□第17話 別れの前に
3ページ/46ページ
それに気づいた空海がれなの背中をトンッと叩いた
「どーした、れな?今日は、何かそっけないじゃん」
れなは無反応
そのまま空海に背を向け続けていた
「なんだ、どーしたー?」
空海がれなの体を回転させ、自分のほうを向かせた
「!」
れなはそれに驚いて目を見開き、空海を見た
「!」
今度驚いたのは空海だった
なぜなら
「れな、お前…何泣いてんだよ」
れなの瞳にははっきりと涙が見えた
泣かないようにと堪えていたけれど、やはり、涙が込み上げてきた
ただ中等部へ上がるだけだから、会えなくなるわけではないのに
会える回数が減るからと、ただそれだけの理由で涙が瞳に浮かんだ
泣かないと、決めていたのに…
「せっかくの卒業式なんだ。
笑顔で見送ってくれよ!」
そう言われても、笑顔になれなくて
ただ、一言だけ
「ごめん…なさいっ…」
それが限界だった
その言葉がきっかけとなったのか、涙が一気に頬を伝った
.