真の願い
□第18章 お悩み相談
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「(幾斗、空海、唯世)」
三人の男の子の顔が浮かぶ。
思い浮かべると、何でか少し顔が火照ってくる。
この三人とは色々あったものの、実のところ自分の気持ちというものがよくわからなかった。
「(私は誰が好きなんだろう…)」
昨日何度も思い悩んで結局結論は出なかった。
でも、心のモヤモヤは残ったまま。
だから、誰かに相談したかった。
ナミネやセィラに相談してもいいが、この二人には世話になり過ぎている。
それに、第三者の視点からの意見も聞いてみたい。
「(お姉ちゃんに相談してみようかな…)」
一番に浮かんだのはれなが最も頼りにしている姉二人。
彼女たちに連絡を取って相談してみようか。
「(ううん、駄目駄目)」
なんて思いはしたものの、あの二人は忙しい。
こんなことのためだけに二人の時間を割きたくない。
「(じゃあ、あむは?)」
次に浮かんだのはあむだった。
一番仲良くしている友達のあむ。彼女ならどうだろう。
「(…駄目だ。あむは、駄目)」
理由はわからない。
でも、何でか相談してはいけないような気がした。
「(そういえば、海で溺れた時、あむに『唯世に人工呼吸されたらどう思うか』って聞いた時…顔真っ赤にしてたっけ)」
あむが唯世に対して何かを抱いているのは、今までの言動から判断して明らかだろう。
自分が相談しようとしていることには唯世も関係する。
あむには、相談できない。
「(それなら…誰に相談しよう…)」
再び誰に相談するか考えてみた。
「(そうだ、なでしこはどうかな?)」
ガーディアンのクイーンズチェア、藤咲なでしこ。
しっかり者で何でも得意な頼りになる女の子。
唯世と空海とは親しい関係にあるが、異性として意識しているような素振りも見せていないし、相談するにはもってこいの人材だ。
明日は休日。
学校もないしガーディアンの集会の予定もない。
きっとなでしこは家にいるはず。
「(よし、明日なでしこに会いに行こう)」
そうして今日実行に移したのだった。
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