短編夢♪

□掌にのせた恋
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「高瀬さんがね、ブン太とメールしたいって」

「誰それ」

「ほらうちのクラスで一番可愛いって有名な、」

「あー、分かるかも」



かみかみ、かみかみ。ストローの先を噛む癖なんて、なかったはずなのに。空気は大分暖かくなってきたけれど、フローリングはまだひんやり冷たいからクッションを下敷きにして座った。



「やべ、ミスった」

「はい消しゴム」

「サンキュー」

「まだ終わらないの?」



ピタッとシャーペンを動かす手を止めてわたしを睨んできたブン太。ごめんごめん、わたしが悪かった。そうだよね、いつも人任せなブン太が宿題をしかも数学を自分でやるって言い出すなんて凄いことだよ。明日槍が降ってもおかしくない。



「ごめん、わたし疲れたから休憩。終わったら起こして」

「襲っても文句言うなよ」

「…ブン太が?」

「ん」



クッションの座り心地にはどうしても慣れなくて、体勢を変えようとベッドに倒れこんだらこの一言。ブン太がこんなことを言うなんて、長年の付き合いからも想像してなくて。本気じゃないのは分かっていたけど、冗談で済ませるのは少し惜しい気がした。



「別にいいけどさ、」

「…いいのかよ」

「わたし達そんな関係じゃないよ」

「………」



それっきり黙りこんでシャーペンを走らせるブン太を見て、まあ一応横になるのは遠慮してあげた。ここわたしの部屋だけど。でも宿題は終わったし、正直することないんだよね。さて何をしようかと部屋を見渡していると、ふと視界に入った赤髪が揺れた。



「お前はいいの?俺がその、高山だっけか」

「高瀬さん?」

「そいつとメールしても」

「…ブン太が、したいなら」

「あっそ」



ふいっと顔を背けられた。もしかして怒らせたかな。だけどわたしに、ブン太を縛る権利なんてないもの、大袈裟かもしれないけど。でももし、これでブン太が彼女とメールを始めたなら、ほんのちょびっとだけ、見損なうかもしれない。そんなもやもやする感情を振り払うようにベッドから立ち上がってブン太の隣に腰を下ろした。



「ブン太、あんまりメールとか、して欲しくない」

「…なあ、今のもっかい言って」

「イ、ヤだ」

「何で。それってヤキモチだろぃ?」

「…ちがうよ」

「違わねぇって」



ニヤリと笑ったブン太はそうかそうか、と一人で納得したようにわたしの頭を撫でた後、上機嫌に口笛なんて吹きながらまたシャーペンを走らせ始めた。ぽかんとしていたわたしは、それから何となくブン太の顔が見れなくて、くしゃくしゃになった髪を手櫛でときながら氷が溶けて薄くなったアップルジュースをストローでかき混ぜてみた。





掌にのせた恋

 
(春は、すぐそこまで。)








‐end‐
‐‐‐‐‐‐‐‐
*相互記念*
蜜奈姫に愛をこめて!
素敵な夢を頂いたのにお返しがこんな小説でごめんなさい><あの愛だけはたっぷり溢れてます…!←

08.03.12





+++++

紫遠様!!!!
こんな胸キュンで萌ぇ〜なブンちゃんを、ありがとうございますッww
やっばいくらい可愛いです!!!
嫉妬するブンちゃんが可愛くて仕方ないですよ〜♪(泣)
本当に、ありがとうございましたッ!!!!






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