メリーバッドエンド

□アルファ
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大人になると、ナンパなんて無くなると思ってた。
学生の頃は、指輪してたりマーキングがあったりしてたからあんまり無かったんやけど。
20超えてから指輪付けてたりしたら普通声掛けへんと思うねんけどなぁ。
侑士も仕事で声掛けられたりしてたし、相手が居ろうと関係無いんやな。ほんま人間って気持ち悪い・・・。


「ちひろ?黙ってどうした?バテたか?大丈夫ナリ?」


「んー。雅治達が潜ってる間にナンパされてんやんか?」


「は?マジで?あんな短時間に?相手は?触られたりしてへんやろな?トドメ刺しに行かなあかんな。」


「簡単に追い払えたからそんなんせんでええよ。触られても無いし大丈夫。やけど、指輪とかキスマークとかほんま効果無いねんなって痛感したわ。」


「なんで痛感なんスか?」


「侑士さ、病院とか学会行く時とか念入りに準備して行っててんよ。たまにあたしの可愛い髪留めで髪括って行ってたりもしてたのにさ絶対にお誘い受けててんよ。」


「ずっと指輪もしてますし、空いた首元からはキスマークもめっちゃ見えますもんね。」


「そそ。外に行く時はあたしがあげた女物の香水振りかけるし。やのに、なんで声掛けるんやろ。いくら男前やって言うてもしたらあかんこと位弁えて欲しいと思わん?ええ歳した人間がさ。」

軽い溜息着きながら、掛かってある服を手に取って美夜子に合わせたりする。
あたしはこないだ買ってもらったし、またデート行けばええから今日の残り時間は美夜子のお洋服探し。


「それは言えてますけど、俺には耳痛いっすねぇー。」


「光は合意の上やからええやん。美夜子も気になってたんやし。知らん人間が調子乗って目先の事しか考えんと関わって来るのがほんまに気持ち悪いねん。そこら辺の価値観は幼馴染達と合ってるから気持ちよう分かるなー。」


「ちいは他人にも比較的優しいから怒るとかは滅多にあらへんけどな。美夜子、これとこれ試着して来てみ。」


「ありがと、忍足君!試着室借りて来るね!」

美夜子は侑士から2着ワンピースみたいなのを預かって試着室へ行った。


「光も取引先の令嬢とか親から話しながら持ち掛けられた事あるやろ?」


「詳しいっすね。結構言われますわ。そーゆーのめんどいんで年齢とか性別とかも公開して無いんですけど。」


「名前両方いけんもんな。雅治も言われたりしてたからな。出先とかでも通話繋げっぱなしやった時とか毎回言われてたもん。」


「マジっすか。相変わらずプライベート無いっすねーおもろい。」


「ちひろ含めのプライベートなんじゃ。寝息でも無いと俺が動けんきに。ちひろはもう慣れっこじゃろ。」


「せやなぁ。プライベート言うてもなぁ?生活の軸に皆が入ってるから何処かで繋がってるのが当たり前やし、通話も楽しいで?今はもうほぼ無いけど、侑士が喋られへん会議とかの時も雅治と一緒に2人で侑士に向かって話してんの。」


「いつだって幸せそうですね。」


「幸せやなかった時無いもん。そー思ったらめっちゃいい人生やない?なぁ?雅治!侑士!」


「分からんもんやろ?傍から見たらえらい修羅場に居るように見えるやろうけど、蓋開けたら幸せの塊の人生歩んどる。俺等は一生4人で楽しく生きていくと思うで。」

あたしを見ながら喋って侑士も雅治もニヤリと口角を上げる。
そうこういう間に、試着を終えた美夜子がこっちに戻って来る。


「おかえりー美夜子!サイズどうやった?」


「サイズは良かったよ!あーいうフリフリついたの自分じゃ選ばないから少し不安だったんだけど着てみると可愛い服かな?って思ったかも?」


「美夜子はボブの長さやし恐らく似合うと思うで。財前には次のデートまでお楽しみやな。」


「俺もお洒落になんか買おっかなー。侑士さん、オススメ無いっすか?帽子とか?」


「せやなー。今みたいなジーンズも似合うけど、綺麗な足しとるしスキニーパンツでもええんちゃう?上は無地にしといて、ネックレスとか光り物つけたらどや?帽子はアレやな・・・髪色も明るいし短いし出てた方がお洒落ちゃう?ピアスも見えるし。光り物はピアスと同色系にしたら完璧やな。」


「同じ色ね。りょーかいです!また見てみますわ。ここ、レディースばっかですもんねー。」


「靴とかもな、上の服と同じ色にした方が整って見えるからな。俺等もお揃いの靴何足か買っとるからその日のコーディネートに合わせて履き替えるわ。言うても俺の独断と偏見の服装やから自分等でも選んだらええねん。」


「お洒落な人が言うとなんでもお洒落に見えるのは何でだろうね?」


「基本的に、オシャレってのは気楽に行かなあかんねん。流行りの物買いまくって着飾り過ぎてもごちゃごちゃしてダサく見えてまう。俺が気を付けてるのはメインは思いっきり、サブは控えめに、や。」


「侑士に任せっきりやからあたしは全然やねんけどな!」


「これからも任せっきりで頼むわ。ちひろの為に悩む時間も楽しいねん。」


「はいはい。美夜子の服買ったら解散する?」


「そうだね。すっかり暗くなっちゃったね。ちひろ達はお夕飯もう決めてるの?」


「なんかリクエストある?ちひろ?」


「リクエストー?美夜子、今何時?」


「今は、20時10分前だよ?」


「もうそんな時間か!せやったら簡単な料理でえーかな?なんやろ・・・お味噌汁やろ、鳥のサラダやろ、あ!お魚焼くのは?冷凍の鮭あったやん?」


「はぁ、めっちゃええ嫁。最高やと思わへん?」


「・・・・・・いや、分かんないすけど、侑士さんが作るんやからどっちかと言えば嫁は侑士さんでは?」


「ほな聞くけど、財前と美夜子は今日何食べたい?ついでに仁王も。」


「俺は好きな人が作ってくれるんなら何でもいいですね。簡単なのでも、なんなら店屋物でも全然良いっす。一緒に食えるんやったら。」


「私も和食が良いかな?お魚美味しそう!」


「何でもよか。」


「美夜子はまぁ合格や。後の2人は話にならんわ。」


「何でっすか?!作る人が楽な料理望んでダメっすか?」


「あんなぁ?料理する人なら分かるやろうけど簡単でも献立って考えるの大変やねん。俺は携帯で調べて片っ端から作っとるから困らへんけど、何でもいいが1番困らんねん。せやったら、多少凝っててもリクエストしてくれた方が助かるし作りがいがあるねん。」


「侑士はいつも品数多めに作ってくれるし、1日30品目以上食べなあかんって言うて食材も多目に使ってくれるしちょっとでも力になれたらって思ってるから侑士が聞いてくれる時は出来るだけ考えて答えるようにしてるんよ。」


「へぇー。侑士さんめんどくさ。」


「光君本日も毒舌ぅ!ええの!あたしは面倒臭いなんて思わへんねんから!」


「仁王さんも千歳さんも大変すね〜。」


「笑いながら半分馬鹿にしてるやろ!雅治とか千里はもう慣れてるわ。な?雅治?」


「なんとも思わんナリ。気にもならん。」


「仁王の面倒くささも慣れたもんや。」


「あはは。そっかぁ。私も良くお夕飯作るの手伝うんだけどほとんどお母様が考えてくれてるのよね。私も考えようかなぁ?」


「光は好きな人と食べれるなら何でもえーってゆーてるんやから美夜子はそない深く考えんでええと思うで。侑士がこんなんだけ。」


「ほんと?光?」


「おん。何なら毎日同じ食事でもええわ。隣に美夜子が居るなら何でも美味く感じるねん最近。」


「おう、分かってきたのぅ。じゃろ?ちひろが隣に居るだけで全ての事が幸せなんじゃ。飽きもせん。毎日楽しいし幸せナリ。」


「あ、仁王君がにっこり笑ってるの凄く久しぶりに見たかも。そんなに幸せなんだね。」


「ちひろの前以外では愛想笑いが多いけん、今のはたまたま出ただけぜよ。俺が笑うとちひろが嬉しそうでなぁ。」


「侑士も千里もようニコニコ笑うけど、雅治はニヒルにしか笑わへんやん?やから、嬉しいんよ!あたしの前だけ見せてくれる満面の笑顔!めっちゃ男前ー!」


「は?俺の方が男前やけど?モテとるけど?」


「分かってる分かってる。侑士もめっちゃ男前やから!雅治と千里と同じくらい男前やから!」


「恋愛フィルターっすねぇー。俺はやっぱり白石さんと跡部さんめっちゃ男前やと思いますね。」


「蔵も顔は整ってるんかもやけどタイプちゃうもーん!景ちゃんはハーフやからしゃーないわ。」


「へー。跡部さんってハーフなんすね。通りで少し日本人離れした顔しとる思ってましたわ。」


「光は興味ある人以外ほんま知らんよなぁ!何年居るんよ。」


「あーそれはよう言われますわ。謙也さんと千歳さんくらいっすね。話覚えとるの。後はここの4人の話も覚えてます。」


「光ってさ、元々ヤンデレの素質あったんちゃう?」


「IQ高い人間はな、1つの事に固執してまうねん。本人は無自覚が多いけど全部知るまでとか、興味ある事やとそればっかりになんねん。しかも、長いし忘れへんねん。」


「そうなんだ!確かに中学からやってるブログまだしてるもんね?」


「せやな、いつもコメントおーきにな。」


「あ!話し過ぎたね!私この服買ってくるね?」


「俺が買うたる。可愛ええ水着見せてくれたお礼や。」


「お金持ってきてるから!一応私貯金もしてるんだよ?」


「美夜子がええ所の家の子や知っとるけど月収は俺の方が高いと思うけど?今夜そのおニューの服で抱かせてもらうから払わせてや。」


「ええ?!新しい服で?!1着2万円もするよ?!ヤダよ!」


「今月、給料600万やったけど。なんならその服後10着買うからな。」


「・・・光ってある意味凄いよな。あたしは物とかも買わせてくれへんけど、侑士は堂々と外でやらしい事言うし・・・。光の場合ほぼ脅しやん。」


「加虐性淫乱症って言うてくれます?」


「なんよそれ?」


「ドSって意味や。逆にドMは被虐性愛って言うねん。ちひろのみたいに。」


「一言多い!ドMちゃうわ!」


「ちひろちゃん、外ではSやのにベッドではMなんすね。ギャップ萌えってやつやなぁー。美夜子、買いに行くで。買わさんかったら俺ん家まで連れてかんと無理矢理ホテルぶち込むからな。」


「ヒッ!は、はい・・・ありがとうございます・・・。」


「あ、因みに俺はめっちゃドSやけど、美夜子にはドM望んでないんで大丈夫っすよ。」

光はニコッと笑って美夜子とお会計に向かっていった。
あたしが美夜子の事も大事に思ってるから言うてくれたんやろうなぁ。
やっぱり光ってある意味凄い。
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