メリーバッドエンド

□視える世界
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「あった!あの車や!このホテルに居るんかな?」


「こことは分からんすけどね。入ってそんなに経ってないから、出でこんと思うけど・・・色んなところ回りますか?」


「うーん。そやなぁ。」

ちひろちゃんと話してると、ホテルの入口から拘束されてるであろう桜さんと、男達が3人で出てくる。
あれ、やばいんとちゃうか。黒いスーツ来て、そっちのもんやん。
桜さん、右足から血が垂れとる。


「ちひろ?!光?!なんでここに?!」


「あ?仲間呼んだのかいつの間に?殺すぞ。」


「っ、お金ですか?!お金なら何億でも出します!なので、桜を離してあげてください!」


「何億?お前みたいな女が?嘘つくな。言うならすぐに用意してみろや。」


「なんで、桜さんを拘束しとるんすか?!」


「はぁ?コイツがカシラのイロに惚れられてカシラが振られたからだよ。殺せって命令だ。」


「逃げて!光!ちひろ!アタシはいいんさ!逃げろ!早く!!」


「お願いします!ほんとにお金ならあるんです!」

ちひろちゃんが1歩前に踏み出した時に、ヤクザらしき奴が懐から拳銃を取り出して、近くの車の窓ガラスを打った。
ほっ、ちひろちゃんにも当たらんで良かった・・・・・・。


「動くな!動くと次は頭ねら」
「イ゛、だっ、・・・!!!!」


「「ちひろ!!!!」」

ちひろちゃんが顔を押さえて座り込んだ瞬間、仁王さんと侑士さんがアタッシュケースを抱えて走って来た。


「あ?てめぇら誰だよ?」


「金じゃ!ほら、50億はあるけん、見ろ。足りんならまだある。」

仁王さんと侑士さんがアタッシュケースをヤクザ達に向かって投げる。
ヤクザの1人がアタッシュケースを空けて本物か確認しとる間、蹲ってるちひろちゃんに走って近寄って、顔を覗き込んで、固まる。


「血、血、血が出とる!!ちひろ!何処や!なんかされたんか!ちひろ!痛いかもやけど、診せや!!」


「・・・あ、・・・あ、ああああ、め、から、で、とる・・・!ゆ、し、侑士!侑士!ちひろ!ちひろ!ガラスか!」


「救急車や!俺の病院行こ!電話する。雅治、頼んだ。」


「プピーナ。」


「ほお?本物の金だな?まぁ、殺すのはやめてや・・・ぐっ!!!」
「がはっ!!!」
「がぁぁあ!!!」

仁王さんが手袋をはめて、胸元からバタフライナイフを3本取り出して両手で目にも止まらん速さで3人のヤクザの左胸に思いっきり投げて、きっちり刺さる。
ヤクザは一瞬で倒れて、桜さんはこっちに近付いてくる。


「やー!流石に殺人は・・・!!」


「侑士。」


「分かっとる。2台呼んどる。ちひろ、大丈夫か?痛いやろ?あんまり動かしたらあかんで?大丈夫か?」


「い、あい・・・いたいよぉ、ゆ、し、まさはる・・・。」


「もう喋りなさんな。ちひろ、ずっと傍に居るけん、撫でてたる。横抱きにしとくから。黙っとき。」

言うてる間に救急車が2台来る。
1台にはちひろちゃんと侑士さんと仁王さんが乗っていった。
もう1台には動かなくなった3人の男達が連れて行かれた。


「すんません、桜さん。俺が、桜さんが、知らん男と居たので気になってちひろちゃんに連絡したんです。」


「なるほど。殴られて脅されて殺されかけたけど、それよりも、ちひろが心配さ・・・。ここまでどうやって来たんさー?」


「俺の車です。乗りますか?病院に行きますか?多分1番近い病院に行ったと思うんで。」


「行く。お願い出来る?」

桜さんは腕についてる手錠を簡単に足でぶちぎって、俺の後に着いて来る。
あかん、悪い予感しかせーへん。どないしよう。
これは、俺のせいでもある。
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