メリーバッドエンド

□心の合宿
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数日後、合宿の時はやって来た。
景ちゃんのジェット機に乗って、とある無人島へとやって来た。


「景ちゃん!久しぶりやなー!元気しとった?いつもお土産とか、写真ありがとーな!」


「俺様はずっと元気だ。ちひろこそ、その首輪見るとまだ、上手いこと繋がってるようだな。チッ。」


「まーね!なんの舌打ち?!・・・あー!仁君!来てたんや!じーんーくーん!」


「君付けすんな。俺は無理矢理連れてこられたんだよ。」


「めっちゃ久しぶり!また鍛えて大きなったな?」


「こら、テメェ!ちひろ!腕にしがみつくんじゃねぇ!」


「いで!はたいたなぁ!仁の馬鹿力!!」


「フフフ、相変わらず騒がしいね。」


「精ちゃん!景ちゃんも海外から皆帰って来てたんやな?」


「そうだよ。海外に行く為にね。ちひろが来るなんて聞いてなかったな。」


「あたしも最近知ってんよ。」


「ちひろ。亜久津から早う離れんしゃい。」

仁の腕にしがみついてると、頭を抑えた雅治に引き離される。
雅治は、なんか知らんけど仁には嫉妬激しく無いんよな。
侑士はいつもめっちゃ睨んでるんやけど。

雅治と侑士の風邪は結構長引いて、昨日やっと完全に熱が引いた所や。
あんまり無理させんようにせなな、まだ頭痛してるみたいやし。



「うげ、泥棒クソ女!」


「あれ?何人かは違う島で別々でやるってゆーてなかった?なんで入江奏多君もこっちおるん?」


「ただのくじ引きで当たりを引いただけですよ。」


「何処が当たりだ!大外れも良いとこじゃねーか。聞いてねぇぞ、てめぇが来るなんざ。」


「美夜子も後で来るから安心して?黙って?」


「何が安心だ!」


「オイ、ちひろ。何だ、こいつら?ちひろに対してなんて口の聞き方してやがんだ?喧嘩売ってんのか?あ?」


「この人達は、入江奏多君、越前リョーガ、先輩達やって。」


「知り合いなのか?ちひろ。ぶっ飛ばしてやってもいいんだぜ?つか、絞める。」


「ぶっ飛ばすのはコートの中にしよな?仁。」

既に喧嘩になりそうな仁を何とか押さえ込んで集合場所へと向かう。

そう言えば、仁との出会いも喧嘩からやったなぁ。
雅治との試合で、いきなりメンチ切って、雅治もメンチ切りあって、悪口言いながら試合して、雅治に負けてんなぁ。
それからは雅治に会う度にメンチ切り合いながら言い合いながら試合挑んで、なんやねんこいつってあたしも喧嘩売ってたりしてた。
美夜子と桜で三人で帰ってる時に、ヤンキーに絡まれてる時に、道端でばったり会って、何にも言わんと、躊躇いもなくヤンキーぶっ飛ばして、あたしの頭だけ無言で撫でてそのまま去って行ってんな。
それから会う度、お礼言うたんやけど、ずっと無視されて、あたしに悪態もつかんくなってた。
気になって、無理矢理腕掴んで、なんであの時助けたん!なんでいきなり優しくなったん!言うまで離さんから!って言うたら、少し赤い顔しながら、仁王が試合をしてくれるのはお前のお陰だから、大事にしてやんねぇと、俺がぶっ倒せねぇからだよ。って、付き合ってる事も言うてないのに、あたし達の事理解してくれてて、そんな仁の天才的な才能と優しさを気に入ってんなぁ。

景ちゃんと精ちゃんが仕切ってくれて、練習メニューを発表し出す。


「上手いことに、このメンバーは左利きと右利きが半数居る。利き腕対策に、先ずは左利きチームと右利きチームにわかれてラリーする様に。」


「忍足、俺様、越前リョーガ、幸村、亜久津、丸井はこっちのコートに。」


「千歳、仁王、財前、入江奏多さん、木手、向日はこっちのコートにお願いするね。」


「ん?あー!えーしろー!来てたんなら声掛けてよー!」


「ちひろ、先に俺ば声掛けるとよ。」


「あ、千里、今到着?」


「お久しぶりです。ちひろ。何やら混みあって居たので、声を掛けるのは後にしたんですよ。」

見知った顔がいっぱいいてキャッキャキャッキャしてると、景ちゃんに首根っこ掴まれる。
景ちゃんの事も嫌いじゃないけど、仁みたいにベタベタ引っつこうとは思わへんねんなぁ。
なんでなんやろ。もしかしたら、一人じゃ生きて行かれへん人が好きなんかも、あたし。


「ちひろ。お前はサポートだ。ドリンクや、怪我の処理、データの処理、その他諸々頼んだぞ。」


「はぁ?そんな女に出来んのかよ?データなんて特に入江達にさせた方がよっぽど正確なんじゃねーの?」


「こう見えて六年間も立海でマネージャーを務めてたんだ、俺様の将来の嫁に悪態つくんじゃねぇよ。」


「誰が景ちゃんの将来の嫁や!雅治と侑士と千里に怒られるで!てことは、ぴよしとか美夜子はあっちおるん?」


「そうなるな。ホテルは同じだから、後で話せ。」


「りょーかい。残念やったなぁ、ぜんざい君。謙也も美夜子も向こうやって。」


「気が散らんくて丁度いいっすわ。」


「さてさて、忙しくなりそうやな。サポートあたしだけやん。」


「任せたよ、ちひろ。俺も手が空いたら手伝うからね。」


「了解!精ちゃんも、存分に楽しんで来て!」

ふふふと笑って、右側のコートへと入っていった。
テーブルの上のスコア表を手に取って眺める。
どっちから見ようかな。
既に作ってあったドリンクを並べながら、左のコートへと向かった。



「いきなり君か、ついてないなぁ。」


「プピナッチョ?俺か?お前さんか?」


「さぁ?それはご想像にお任せするよ。」

入江奏多と雅治のラリーが始まる。
お互い腹の底を探ろうと、本気で打ち合ってない。
こんなん、練習になるんかなぁーなんて思いながらチェックとデータを記入していく。


「此処で会ったが百年目、よろしくお願いします。」


「え?俺は別になんの因縁もないっちゃけど。」


「こちらはあるんですよ、いろいろ、とね。」

こっちは、千里と永四郎の打ち合いが始まる。
喋りながら、永四郎の球を難なく返しながらラリーが始まる。
何処と無く永四郎の球の方が早い気もするけど・・・。
大丈夫か、カリカリとシャーペンの芯を滑らせる。


「よろしくな!四天宝寺の奴!」


「財前光っす。お互い、右利きのパートナー仲間、よろしくっすわ。」

楽しそうにがっくんが打ち出す。
そうそう、これはラリーが目的やねんからこの位楽しそうに打ち合いしてくれんと。
ちょっと飛ばしすぎながっくんを見ながら、データを書き込んでいく。
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