メリーバッドエンド

□自慢の恋人達。
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半年後なんて、直ぐに来て、ドイツへと泊まりで試合に行く。
試合までまだ時間あるって言うてたから、初めて来たドイツ観光。


「わぁ、すごぉ!あたし達、国内旅行はめっちゃ行くけど、海外旅行は初めてやなぁ!!」


「私は昔に一回だけ来た事はあるけど、いつ見ても綺麗だね、ドイツって。」


「パスポートって案外高ぇんだなぁー?」


「へー、日本と全然違うんさねぇ・・・。アメリカには数回アタシも行ったけど、ちゃうなー。」


「迷いそうですね。ホテルに戻れますかね。」


「地図もあるし、大丈夫やで、日吉。」


「忍足さんは、来た事あるんですか?」


「ドイツはあらへんな。ちゅーか、迷いそうなら美夜子手ぇ繋いどけや?自分らだけやぞ?繋いでへんの。」


「・・・。」

あたしは雅治と侑士と手ぇ繋いでるし、丸井は桜と繋いでる。
皆で美夜子と日吉の事を見つめる。
こんなけ言われても、まだ繋がへんのや、日吉。ほんまに情けないなぁ。せやから光に盗られるんやんか。


「わ、若・・・?はぐれちゃ駄目だから、繋いでもいい?」


「っ、し・・・仕方無い・・・な。」


「普通の繋ぎ方かよぃ。」


「それな?まだ貝殻繋ぎ出来へんの?ぴよし?」


「かい、がらつなぎ?」


「これの事。」

雅治と侑士と繋いでる手をあげて、日吉に見せる。
指と指を絡めさせる繋ぎ方。
にしても美夜子・・・。光と繋ぎ慣れてて、オネダリすんの、上手なったなぁ。前やと考えられへんかったわ。


「繋いでるんだから、別にいいでしょう・・・。」


「俺は何でもいーけどよぃ!腹減った!美夜子、来た事あるんだろぃ?なんかオススメの店とかねぇーのかよぃ?」


「うーん。あの時は、現地に詳しい通訳の人と一緒に来たし、分かんないなぁ。」


「えー!!右も左もわかんねぇのに、どーすんだよぃ!」


「跡部さん呼びますか?ドイツ語も話せますし、ドイツも詳しいので。」


「ふぁぁ・・・そんなんせんでも、雅治達おるやん。ねむ・・・。」


「仁王君と忍足君??」


「ふふ、昨日偉い楽しみにして、朝方までドイツの観光名所見とったもんなぁ。試合終わったら行こか?」


「行くー!先ご飯行こや!侑士!」


「おけ、ちょい待ちや。・・・hello、Verzeihung。(こんにちは。すみません)」


「oh!bist du japaner?!Sie reisen nach Deutschland?(おお!日本人!?ドイツ旅行ですか?)」


「Jawohl!Gibt es gute Restaurants hier in der Gegend?(はい!この辺で美味しいレストランありますか?)」


「Restaurants?Welche Art?(レストラン?種類は?)」


「ちひろ、何か食べたいもんあるナリか?」


「うーん、いっぱいあるけど、試合で体力つけなあかんし、お肉料理は?」


「プピナッチョ!」


「ほい!Bitte teilen Sie mir das empfohlene Fleischrestaurant mit!(オススメの肉料理屋さん教えてください)」


「Fleischrestaurant!!Wenn ja,fahren Sie hier geradeaus und biegen Sie an der zweiten Ampel ab und dort ist Geschaft mit leckerem Schniffel.(肉料理ね!それなら、ここを真っ直ぐ行って、2つ目の信号を曲がった先にシュニッツェルの美味しい店があるよ!)」


「Danke!(ありがとうございます!)」


「OK!Gute Reise!(いいよ!良い旅を!)」

ドイツ人が笑って手を振ったとこを見たら、話終わったみたいやな。


「シュニッツェルかぁ、名前しか聞いた事無いのぅ。忍足の飯以外食うの久々じゃな。」

雅治があたしの腕を引いて、歩き始めた。
確かに、侑士以外のご飯食べるの半年ぶりか。
デートとか旅行以外は朝昼晩、侑士がご飯作ってくれてるし。


「あれ?四人共どったん?着いてこうへんの?」


「・・・いや、びっくりしてんだよぃ!忍足も仁王も話せるのかよぃ?!」


「? 雅治は確か・・・英語とフランス語とドイツ語とイタリア語と韓国語は話せるよ?侑士は、英語とフランス語とドイツ語とイタリア語と韓国語とスペイン語話せるでな?」


「ワタシ、ニホンゴ、ハナセナイデ、ニホンゴ、ムズカシイ。ワタシノナマエ、シノビアシヤ。」


「ぷは、なんでやねん!関西訛りで話しなや!ワタシモ、ニホンゴ、ハナセンデ。アナタノ、オナマエ、オシタリヤ。って、なんでやねん!もうええわ!やめさせてもらいますぅ!」


「「「・・・。」」」


「え?!滑った?!ここは爆笑するとこやで?!桜なら分かるやろ?!」


「・・・まじかよ・・・お前ら・・・。」


「・・・忍足さんも、仁王さんも外国語専攻してましたっけ?」


「いや。俺医者やぞ?ふつーに医学部やけど。確かに、カルテはドイツ語とかよう聞くけど、もうドイツ語で書いとるやつなんかおらんて。」


「プリッ。俺はちひろと一緒に経営学専攻したぜよ。レポートは全部俺が書いたけんのぅ。」


「忍足君は兎も角?いや兎も角じゃないけど、仁王君とちひろって結構簡単な大学だったよね?!私でも、英語しか話せないんだけど・・・。」


「? え?何?どゆこと?そうやけど?さっきから何を言うてんの?皆。」

雅治と侑士に手を引かれながら、険しい顔して着いてくる四人に首を傾げて聞く。


「こいつ・・・やべぇ・・・恋人達がマルチリンガルなの、当たり前に思ってやらがらぁ。」


「マルチリンガル?ってなに?」


「ちひろはアホすぎだろぃ!五ヶ国語以上話せるやつのことマルチリンガルとか言うんだよぃ!」


「へー、そーなん?てか、景ちゃんも話せるやん?侑士よりもっと話せるやん?」


「ちひろ、良く聞いて?英語でも難しいのに、他国語をこんなにネイティブに話せる人って、中々居ないのよ?分かりやすく言うと、天才。」


「え!そうなん?!ちっさい頃から色んな国の本普通に読んでもらってたから知らんかってんけど!天才なん?!侑士も雅治も!」


「日本産まれですよね?二人とも・・・。」


「生粋の日本人やで。俺と仁王はそれぞれの両親の産まれた県それぞれちゃうから、血は生粋の何人、とかは無いけど。血は日本人や。」


「しかも、小さい頃から?!塾とか行ってたんだね・・・凄い英才教育・・・凄いなぁ・・・。」


「プリッ。塾なんて行っとったら、ちひろと遊べんじゃろ。独学に決まっとるじゃろ。」


「はぁ?!まじかよぃ?!」


「最初からマルチリンガルやった訳ちゃうけどな。ちひろが俺のオトンの部屋から英語の絵本持って来たのがキッカケやったなぁ。読んでやれんのが悔しいて悔しいて、徹夜で勉強したわ。先に仁王が読めるようになって、ほんんんまムカついて、オトンの部屋のやつ片っ端から読み漁ったわ。」


「才能の無駄遣いすぎさね・・・。確かにちひろも美夜子も可愛いけど、寝る間惜しんでやる事では無いさね。」


「えーん、ごめん、侑士・・・雅治・・・。普通やと思って、全然褒めてあげれてなかった・・・。」


「かまんよ。ちひろが俺等に、これ読んでーって、強請って来るのが嬉しくて、可愛くてそれだけで良かったんじゃよ。」


「えへへ、流石雅治と侑士!あ、着いたん?ここ?」


「プピナッチョ!」

雅治がドアをあけてくれて、お店に入っていく。
出来すぎてる、あたしの自慢の恋人達。
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