メリーバッドエンド

□視える世界
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美夜子と遊んだ帰りに近くにあった好きなブランド品の店へ入った時に、桜さんを見付けた。
俺のパパラッチ癖は治さなあかんなと思ってながらもつい携帯のシャッターを押す。
隣の背の高い男、誰やろ?あんな人友達とか周りに居ったっけ?

2人が買い物しとる間チラチラ目線をやっとると、自分の買い物忘れて2人の後をそれとなく追う。

ちひろちゃんに言うたら直ぐに丸井さんに伝わりそうやし、美夜子は不安与えそうやし・・・。まぁええか帰ろ、って思っとると、桜さんは迎えに来た車の後部座席に男と2人で乗って行った。
すかさずその写真をちひろちゃんに送った。
夜に返事が来るか分からんかったけど、意外に直ぐに返事が来た。
最近桜に会ってなかったし丸井との仲も気になるから話聞きたいから何処?ってメッセージ。
取り敢えず、今の場所だけ送って近くのファストフード店に入って、珈琲を飲んで待つ。


「光?」


「あれ?ちひろちゃん1人?外から見とって全然分からんかったわ。お2人のオーラがやっぱ強いんすね。」


「うん、夕方からお昼寝してたままであたしだけ目が覚めたから来てんけど・・・。」


「ええー。もう21時過ぎてますよ?怒られますよ俺が。」


「お仕置されそうやなって思いながら来た。起きたら途中で2人も来ると思う。携帯にGPSアプリも入ってるから。」


「起こして来てくださいよー。厄介事に巻き込まれたら護れる自信ありません。」


「だって桜の話やろ?ただでさえ他人の話聞くの嫌がるんやから行くって言うたら襲われてたかもやもん!光がこんな時間に居るって事は美夜子と遊んでたん?」


「俺は、美夜子と健全な遊びしてましたよ。」


「俺はを誇張すな。あたし等も健全な遊びした後に大人の遊びするんや。」


「へぇー。両方詳しく聞きたいです。」


「今度な。今は桜や。どっち方向に行ったん?」


「あっちのネオン街に行きました。」


「ネオン街?変やな。桜の家から逆やん。しかもこの写真の男の人と?桜にしたらえらいタイプちゃうなぁ。」


「そもそも恋愛とか素っ気無かったのにタイプとかあります?」


「一応な。桜は口にはしてへんけど、身長高い人とかそもそも好きやないんよ。初対面のどんだけイケメンでも見下されてる感じがするって聞いた事あるし。」


「タイプ変わったとかちゃいますか?」


「そもそも年齢もちょっと離れてるように見えるし。一緒に買い物してたんならナンパとかでは無さそうやから仕事の人かなぁ?ネオン街向かってみる?」


「車、この裏に駐車しとるんで着いてきてください。」

珈琲を飲み干して、店を出る。
ちひろちゃんと2人で話す事なんて滅多に無いし、ほんまに大目玉喰らいそうやねんけどいつもの子供みたいな感じがどんなになるんか少し興味はあんねんな。


「車?光買うたんや?」


「残念ながらポルシェでは無いですけど。」


「車種なんてなんでもええねん。乗れたら!」


「ふうん。ナンパの時高い車言うてくるな思ったけど、構いませんの?」


「あたしは見た目こだわれへんねん。せやけど、ああ言う輩は財力で押さえつけるのが効果的やって雅治に教えて貰ってるから。」


「財力ねぇ。俺より高そうな車乗ってたし、多分支払いも男の方がしてたと思います。厄介なら勝てるか分かりませんよ?上のやつ出て来たりしたら。」


「口八丁でもええんよ。相手の隙を見つけたら勝ちやねん。色んな事言うて反応するとこを見付けるの。この人は何が弱いんやろって。」


「ふうん。あ、そう言えば、聞きたかった事あるんですけど小学校から、あんまり学校行ってなかったってゆーてたや無いっすか?」


「うん。小中大、あたしと雅治は特に行ってへんかったよ?」


「なんで行かへんかったんですか?ちひろちゃんいじめ、守ってあげたら大丈夫だったでしょ?」


「あー。今は居らんから言うけど雅治も侑士も、いじめられててんよ。」


「え?あの2人からそんなこと聞いた事ないっすよ!」

光が驚いてこっち見たから、前向いて運転してって注意する。
3人共いじめられてた過去。
千里だけ皆に優しかったからいじめは受けてへんかった。


「トイレ行ったら水上から掛けられたり、教科書燃やされたり、力では敵わんから陰湿ないじめ2人もされててん。小学校なんか、運動出来る人とか賢い人モテるやんか?それで半分以上は雅治と、侑士に女の子達が惚れてたみたいで男の子達はそれで、振られた腹いせやったんよ。その癖あたしにだけずっと付き纏ってたから。」


「歪んだのはそのせいなんですか?夜とかにフラバとかで起きたりしません?」


「雅治と侑士はな、鋼メンタルやからそんなんされてもなんも思ってなかったくらい。寧ろ笑って、濡れてびしょ濡れやから帰ろーって。侑士なんか、俺僻まれてめっちゃ笑えんねんけど。水も滴るええ男過ぎん?あかん、腹痛い。雅治も教科書全部無いやんけ。って2人で爆笑してた。」


「メンタル強!ちひろちゃんが言うくらいやから本音なんすね。」


「そそ。体操着とかに着替えたり教科書も借りたらええねんけど、あたしがな豆腐メンタルやから2人がそんなんされるの悲しくなんの。やから、あたしが泣きながら笑うからいつも帰っててん。ほんで、段々行かへんくなった。ちひろの方がトラウマになってまうって。寝てる時に飛び起きるのは、今もあたしだけ。」


「そっか・・・。トラウマって治らないんですかね。」


「PTSDも中々治らんみたい。やからあたしが不安そうな顔してたり飛び起きたりしたら、2人が直ぐに起きて抱き締めて、宥めてくれるよ。2人共寝たら物音とかで起きたりせんけどあたしの声とかではすぐ起きてくれんの。」


「愛ですかねぇ。あ、でも中学もいじめ?」


「中学はなぁ。雅治って目付き悪いしあんな髪色やんか?やから上級生とかによく呼び出しくらったりいじめみたいな事受けてたんやけど、探し当てて片っ端から意識無くなる位まで暴力奮ってたから、停学、みたいなのが多かってん。雅治が学校行かへん日はあたしを、監視する人間が居らへんくなるから行くなって雅治に言われて家におったんよ。やからさー、女の子には優しい桜とは本間に部活内でもほとんど話さんかったなぁ。最初は。」


「仁王さんやば。退学とかになるでしょ。幸村さんとかもテニス部辞めさせません?」


「携帯で全部録画しててな、相手から来てたから正当防衛って正当化してたんよ。やから学校も渋々停学、っで済ましててん。中2の頃はもう雅治が、通るだけで皆道空けてたからな。やから、隣に居るあたしもいじめなんてなかってん。手ぇだしたら男女関係無く意識飛ぶまで暴力奮われるから。雅治はやりすぎんねん。女の子なんてバリカンで坊主にしてたからな。ほんで土下座させて謝罪させて、意識飛ぶまで足で踏み付けんの。その頃から精ちゃんと弦一郎とかに怒られてたけど、才能?があったみたいやから辞めずに続行やったなー。なんでか。」


「えぐぅ!!そら、怖がられますわ。いや、怖い!!そこまでやらなあかん?」


「中途半端はあかんって口癖。雅治が番長みたいになってて、隣町とかのヤンキー達良く乗り込んで来たんやけど直ぐ仁に電話してな?バイクで来たら皆顔見た瞬間逃げてったわ。仁は小学校位から隣の県まで名前知られるくらいのヤンキーやったからな。」


「また、変わった人と繋がりあるんですね。今でも会うと抱き着きに行ってるくらいですし相当懐いてますやん。」


「たまたまな?立海と山吹のテニスの練習試合が中学の時にあってな?雅治その時シングルスやって仁としたんよ。ほんで雅治が勝ったんやけど、仁、テニスで負けたの初めてみたいでな。目ェ付けられてん。めっちゃ負けず嫌いやから立海によく来て雅治と良く悪口言い合いながら試合してたわ。」


「あの面倒くさがりの仁王さんと試合?」


「あたしが授業してる時は断っててん。見てる時はしてあげてた。仁は天才やから言わんでももう分かっててん。雅治はあたしの為に生きてるって。やから、桜と美夜子と3人で帰ってた時にヤンキーに絡まれた時、いつもは桜が追っ払ってくれたんやけどな?仁がバイクで通りかかって、降りて普通にどついて全員気絶させたんよ。ほんでお礼言うても無言で去ってくねん。」


「桜さんも強いですもんねー。美夜子も護身術なら出来ますけど。無言?」


「それがなー?そういう絡まれた時に仁が通りかかる事がめっちゃ多くなってな?大分助けられてん。何回お礼言うても、無視やし何年かしたらあたしの頭だけ撫でて去ってくねん。」


「変なの。仁王さんは?」


「雅治が居らん時に仁が来るねん。あんまりにも多くて、雅治が部活の時は多分仁が見張ってくれてたんやと思う。」


「ストーカーですやん。」


「今思ったらな。ほんで、ある時なんで護ってくれるんよ!って聞いたら顔背けながら、仁王が試合してくれるのはお前が居るから。って。何にも話してないのに理解の天才やと思う。光と違う意味で。」


「へぇー。そんな過去があったんすねー。あ、ホテル街着きました。車覚えてます?」


「うん、やけどどこに入ったかわからんからどっかに止めて探そか?」

光は了解とだけ呟いて近くのホテルに車を停めた。
あたし、ホテル来たことないからこんなにキラキラしてるんや・・・。
外に居るのになんか、恥ずかしいな・・・。
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