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□ひな祭り
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3月3日……。
「鬼は――外っ!!
福は――内っ!!」
「…………。」
勘違いにも程がある。
**ひな祭り**
言いながら応接室に入ってきたのは…
笹川了平。
「…君、咬み殺していい?」
「なぜだっ!!」
「……今日は3月3日。節分じゃないよ。
あとなんで『鬼は外』って言いながら…
…………。
僕に『ひなあられ』投げてくるの?」
「むっ?ひなあられじゃないのか!?」
「『鬼は外』の件は無視かい?」
僕たちの会話を聞いていた草壁が、クスクスと笑っている声が聞こえた。
ムッ、とした表情をして草壁を見ればコホン、と笑いを調える。
「京子はコレだと言っていたぞ!!」
持っていたひなあられの入った袋を差し出す。
「う〜む、、京子にもう一度聞いてくる!!」
走り出そうとした了平の手をふいに掴んでしまった。
「!!なんだヒバリ!?まだ何かあるのか!!?」
「…………。」
何で僕……
ひき止めたんだろ………。
「……見なよ、あれ。」
指さしたのは応接室に散らばったひなあられ。
「散らかしたら片付けて行くのは当然でしょ…ほら、さっさと片付けないと咬み殺すよ。」
そうだ、これだ。
ちゃんと片付けて行ってもらわないといけなかったからひき止めたんだ。
「む!!それは極限すまんかった!!今すぐ片付けるぞ!!うおおぉお!!!!!」
凄い声をあげながら片付けていく了平……。
そんなに急がなくてもいいのに…。
………*
僕の知らないところで
僕の気持ちは膨らむ。
まだ気付かない
僕の気持ち。
fin.