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□脳内トレーニング
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「わけがわからんぞおお!」
「煩い、他の生徒の邪魔だよ、君。それと校内に不必要なものは持って来ちゃダメなの、知ってるよね?」
【脳内トレーニング】
ここは応接室。ゲームを手にして騒ぐ笹川了平を前にトンファーをつきつけた。
「むむ、コロネロ師匠が修行にくれたものだ!ゲームなどではない…!!」
「………」
支離滅裂な了平の話を整理してみるとこうだ。
体力とパワーはあるが頭の効かない了平のために、今はやりの『脳トレ』と言うゲームを、赤ん坊の仲間が了平に渡したらしい。まあ、勉強のためのゲームだからね、今回は許してあげよう。
「ぬわっ!なんだこれは!」
画面を食い入るように見る了平は本当に騒がしい。
「楽しそうだね…僕にも貸してよ」
画面には人のマークが2つあった。そこに家のマークが重なり、人がその家の中から出たり、入ったり。どうやら最終的に家に何人の人がいるか、という問題らしい。
2人入っている家から1出ていき、3人入ってくる。今度は2人出ていき、1人入って来た。
「むむ、2人、5人、6人…」
え、あれ。了平、…出ていった人数を引いてないよね。
5人入り、8人出ていき、4人入り…。
「合計は22人だ!」
「…違うよ、答えは4人だよ」
しかも足し算も間違っている。僕は盛大なため息をついた。
「じゃあオレと雲雀の答えを足した26人ではどうだ…!」
………だから、なんで足すの?
「貸して、僕一人でやらせてよ」
「なんだ!勝負する気か!!ならば極限負けんぞおお!」
二人してああだこうだ言いながらゲームをするのを、草壁が部屋の隅に立って見ていた。
数分後。
「委員長が脳内年齢24才、了平さんが…65才、ですか」
「オレのほうが極限得点が高い!!雲雀に勝ったぞおー!」
苦笑する草壁とガッツポーズをする了平。
「それは違うよ、了平。数字が小さいほうが…」
「うだうだするな雲雀!何事も楽しまんと!!」
キラキラと目を輝かせる了平。
そんな了平を映す僕の目の中も、キラキラして見えるだろうか。
「…はぁ。ま、確かに楽しめたしね……」
『そういうことにしといてあげる』
どうやら僕は君に甘いようだ。
fin.
脳トレ内容、詳しく覚えてないので多少違うところがあるかもしれません。