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□クリスマスプレゼント
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綺麗に包装された箱を僕は持っていた。大小異なる箱を腕いっぱいに抱える。

応接室に向かって歩いていると前方から大きな物音がした。まさか応接室に、盗み、または荒らしでも入ったか、等と考える。
草壁が留守番をしているはずだが何か問題があったのだろうか。

どうであれその人物を咬み殺そうと思い、トンファーを握った。





【クリスマスプレゼント】



「そこで何をしているんだい」


そう言うと同時にドアを開けた。返って来たのは草壁のため息と最近やって来るあの人の煩い声。


「おぉ!雲雀!今日は極限メリクリな日だぞ!」


部屋に入ってまず目についたのは苦笑する草壁でも、サンタの帽子をかぶった了平でもない。
天井についてしまうのではないかと思うほど大きなクリスマスツリーだった。

驚きと少しの喜びに見舞われ、一瞬動くことを忘れる。2人はクリスマスツリーの飾り付けをしていたが、それも終盤だったらしく、色取り取りの飾り付けがされていた。

「すみません、委員長。了平さんがどうしてもとおっしゃいまして」

草壁が申し訳なさそうに言う。
そうだ、まったく。何を浮かれてしまったんだろうか。こんなの校則違反だ。

今日は、クリスマス。
クリスマスプレゼントを渡そうと学校にそれを持ってきた生徒は数知れず。
今日の巡回でも『学校に必要な物以外は持ってきては行けない』という校則を破った生徒からたくさんの物を没収してきた。


「直ぐに片付けて。じゃないと没収するよ?」

冷静さを取り戻そうと視線をツリーから逸らした。

「なんだ!そんな顔をするな!ほら、お前も書け!」
「…なに、これ」


渡されたのはツリーの丸い飾りとマジックペン。ツリーをよく見てみればその丸い飾りひとつひとつに何か書いてある。

『来年も早朝トレーニング!』
『今年以上にボクシング部の活動が極限盛り上がりますように!』

などなど。
七夕、笹に掛けられた短冊の如く、ツリーに飾られたそれ。来年の抱負であったり願い事であったり。
草壁も強制的に参加させられたのか、草壁の字で何やら書かれている飾りもあった。

なんでこんなくだらないことをしるんだい。そう聞くと今日が極限にめでたい日だからだと言う。

「一番の願いは星に極限願っておいたからな!」

声を張り上げて言った了平に首をかしげる。七夕とクリスマスが混合しているらしい了平の頭を考えると浮かんだのは天の川。
この人の言うことに対して一々理解しようとするだけ時間の無駄だ。話を流してツリーの片付けに取り掛かった。


「ん?ぬわああ!もうこんな時間か!沢田の家でクリスマスパーティーがあるので来いと京子に言われているのだ!雲雀、草壁も来い!」
「悪いけど一人で行ってくれる?僕は忙しいんだ」

了平はならば仕方がないと言って部屋から出て言った。
残った僕と草壁でツリーを片付ける。室内が静寂に包まれて、何処からか鈴の音が聞こえてきそうだった。

飾りがどんどん外されていく。
ここは学校。風紀委員長として君にだけ甘い対応はできない。もう少し、綺麗なツリーを見ていたかったが心を鬼にし手は休めなかった。


「…?」

最後のひとつ。ツリーの天辺につけられた星を取ろうと手を伸ばした時、それはこの目に映った。



「……草壁」
「なんですか?」

「あの人は、何をあげたら喜んでくれると思う?」





僕は草壁と一緒に応接室を出た。
没収したプレゼントを生徒に返しながら向かう先は。

群れるのは嫌いだけど、その沢田綱吉の家でやるパーティーに行ってあげよう。

了平へのプレゼントを手に。




星に願いを。

ツリーの天辺で光を集めていた星に書かれていたことは。

『来年も雲雀と極限仲良しでいられますように』


透き通った夜空の下で、僕も同じことを願ってみたよ。



fin.


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