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□sun boy
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通路に響いていたのは、賑やかな声。ああ、また君は群れているのか。僕が嫌いなのを彼はわかっているのか、いや、彼のことだからわかっていないだろう。

騒がしい部屋の入口まで行き解散するよう言う。子供一人を抱き抱えた彼と、子供を自室に送ると、彼は寂しそうに笑った。




【sun boy】


「なんで…」
「む、どうした雲雀。もっと男らしく大きな声で言ったらどうだ!」
「なんで、枕投げなんてしてたの」

了平に促され、いつもより少し大きめに声を出した。了平はそんな僕の様子に満足したのか、僕の頭をぐしゃぐしゃにした。子供扱いは慣れっこで、むしろ久々に会ったから、正直嬉しかったりした。

そんなこと、口に出して伝えることはないけれど。

「うむ、10年前のあいつらが元気なさそうだったからな…」
「ふん、だから元気を出そうとして枕投げなんかを?」

群れていること自体、嫌いだと思うのに、君と誰かが群れるなんて余計に嫌だ。
だけど、そんな君も、好きだったりする。太陽みたいに笑って…、と言うより騒いで、かな。どちらにせよその場を明るくさせるなんて。僕には出来ないことだ。

「君には呆れたりもするけど、尊敬出来る部分もある」
「なんだいきなり…、」
「けど、まず誰よりも先に僕の所へ顔を見せに来て欲しかったよ」


長い間会っていなかった。
その寂しさと、釣り合わない"僕が君のことを好きな気持ち"と"君が僕のことを好きな気持ち"によって、自分でも驚くほどにすんなりと、そんな言葉が出た。

いつも喋りっぱなしの了平が静かになったから、胸がチクりと痛んだ。
でも、それは了平の体温によって緩和された。

「雲雀の所へ行こうとしたら迷ってしまって…、なんせアジトに戻ってくるのも極限久々だったのでな…!!」

迷っている間に獄寺隼人と山本武の部屋に辿り着いたのだと、僕の肩を抱き寄せた彼は言った。

なんだ、……やっぱりこの気持ちはお互い様、か。

くすっ、と小さく笑ったつもりが、彼にバレてしまい、なにが可笑しいんだ…!と迫られた。

「久々に会えて嬉しいよ」

問いに返す形でそう言うと、ならばもっと男らしく大きく笑え、って、太陽みたいな了平は言った。


fin.


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